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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
本編(Mシリーズ+Aシリーズ)
306/527

M-294 デモンデテクール


デモンデテクール

悪魔召喚?




 ここは、スカイアドベンチャーが通う学園がある世界とは違う世界。

 暗くてじめじめした廊下には、牢屋がたくさん立ち並んでいる。

 とは言っても、なかにはほとんど人はいない。

 以前は、人間をぎゅうぎゅう詰めにしていたものだが、衛生管理がめんどうで、片付けもめんどうだったから、ついぞやめてしまった。


「おなか減ったなあ」


 囚人を集めて、人体実験だとか食料だとかにしていた青年が立ち止まる。

 そこは、誰も入っていないかのようにみえる牢獄だった。

 青年は鉄格子の間に腕を入れ、なにかを引っ張り出す。

 掴んでいるのは無色透明の、いや、ほんとうに掴んでいるのだろうか?


「うん、小悪党」


 悪ければ悪いほど、それは美味とされている。

 小悪党のそれは、軽くておやつにはぴったりだ。

 青年はもう何匹かそれを掴むと、牢獄唯一の人間に会いに行く。

 ヤツは彼女を傷付けた憎き男だ。


「食べる?」

「なにを?」

「これ」


 差し出された手のうえには何も乗っていない。

 男は鉄格子の奥で、手を見つめることしかできない。

 というか、え、何も乗ってないよね?

 男が疑心暗鬼になるのも当然だった。

 この青年と来たら、男を虐げることに人生をかけている。

 食べる、なんて言ったら、どんなに嘲笑うことか。

 結局、男は曖昧に笑みを浮かべることにした。


「えっ、ちょっとよく分からないです」

「これは人間の魂」

「たま……しい?」

「英語でいうところのソウル」

「と、共食いですか……」


 ドン引きしている男には構わず、一匹の魂を牢屋の内側に入れる。

 逃げ惑う魂には目もくれず、青年はスペルを唱えた。


「デモンデテクール」

「え、なにその、トイレ用洗剤みたいな名前……ってうわわっ」


 牢屋の隅で魔法陣が光っている。

 そこから、小指よりも小さい、小人サイズの虫歯菌が出てきて、男のふとももに噛み付いている。

 あんまり痛くない。

 くすぐったがる男を見ながら、青年は魂を食らう。


「こんなに美味しいのに、魔法陣は美食家だなあ」






斧「おまえは大悪党だから、もっと強い悪魔が召喚できるはずだ」

?「もしかして、生贄になったら、この牢屋から解放されるとか?」

斧「残念ながら、ガッツリ蘇生させるのでご安心ください」

?「やだー永久機関じゃんー」

斧「ふむ」

?「待って、ガチで考えないで」

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