M-276 カースβ
カースB
びょいーんの呪い
「びょいーん、びょいーん」
「びょいーん?」
「おい、そこのカップル。変な言語で喋るんじゃねーよ」
ごく普通のある日。
スカイアドベンチャーのメンバーも、ごく普通に過ごしていた頃。
ごく普通に目覚めたはずだったのに。
舟長は、訳の分からんカップルを見て、脱力する。
まったく、こいつらはいつも通りだな。
「びょいーん」
「ジャンプするイメージ?」
「びょいーん」
「舟長、これは肯定の意を示しているのだろうか?」
「オレに聞くな!」
付き合いは長いはずの斧戦士からヘルプを求められて、舟長は悲鳴を上げた。
オレが翻訳してほしいぐらいだ、と悪態をついて、謎の生命体との会話を試みる。
「おーい、魔法使い」
「びょ」
「それ返事なのか?」
「びょ」
「……オーケー、分かった。斧戦士、これは魔法の作用だ」
「びょ!?」
悪ふざけなのか、そうでないのか。
見きわめられない二人は、真剣に対策を話し合った。
「呪いみたいなもんか」
「そうだ。ディスペルではがれるかもしれん」
「びょ! びょ!」
「よし、そっちは任せた、舟長。おれは呪いをかけた相手を殺しに行くから」
「びょー!!」
魔法使いみたいな謎の生命体が何か抗議しているが、気にしない。
舟長は、ディスペルを唱えた。
魔「呪いじゃないアル!」
舟「じゃあ、なんでびょーびょー言ってたんだ?」
魔「……びょ?」
舟「え!?」
魔「わたし、普通にしゃべっていなかった?」
舟「……斧戦士、助けてくれ!」




