A6-251 スライミーウォーター(邪)
スライミーウォーター(邪)
溶けるってそういう……
コツコツ。
冷たい鉄でできた廊下を歩く音がする。
音は近付いてくる。
惰眠をむさぼっていた男は、上半身を起こし、鉄格子の外を見た。
誰もいない。
「やあ、サンドバッグ」
「急にワープするとか、歩いてきた意味なくない?」
鉄格子の前に現れた青年に、文句を言ってみるがもちろん相手が聞くわけもなく。
見事にスルーされた男は、壁によりかかって楽な姿勢になる。
それがいけなかった。
「スライミーウォーター」
「また、彼女お手製の魔法かよ」
「彼女の作った魔法で死ねることを光栄に思え」
「ぜったい、やだ」
スライミーウォーターを避けもしなかった男は、やがて異常に気付いたのだ。
上半身が滑り落ちていくし、身体が支えられない。
困惑しているうちに、男の上半身は、ぽっきり腰のところで曲がって、下半身とくっついた。
顔がどろりと傾く。
「溶けてる……」
魔法をかけた張本人ですら、こうなるとは分かっていなかった。
ただ溶けると聞いていたので、喜び勇んで憎き敵にぶちまけてやったのだが。
「これはこれでおもしろいか」
窒息で苦しむ男を、青年はぼんやり監視し続けた。
斧「水分量の多いスライムか、水銀みたい」
?「わー、オレきれいー」
斧「これって、ほかの人間も溶かしたらくっつくのかな?」
?「えっ、さすがのオレもキメラ願望はないぜ!」
斧「でも被検体にする人間はいま、これしかないし諦めるか」
?「……ほっ」




