M-270 ポインター
ポインター
追尾もします
「は、はぐれちゃったよー!」
スカイアドベンチャーのアタッカー、魔法使い。
戦闘では何よりも頼りになる彼女が、頼りをなくしてさまよっていた。
要はほかのメンバー、斧戦士、アサシン、剣士、舟長を見失ってしまったのだ。
泣きたくなるのをぐっとこらえて、魔法使いは道の端に寄る。
空のタルを机代わりに、魔法陣を書き始めた。
「うえーん。斧戦士さんどこ行っちゃったのー?」
はぐれる気はなかったので、集合場所もろくに覚えていない。
もしものときは、一発で物事を覚えられる斧戦士に聞けばいいと思っていたのに。
肝心の時にいないのだから、もう魔法使いは涙するしかない。
「ええっと。カバンの中にあったかな……」
ごそごそとカバンを探す魔法使い。
迷子センターに行ってもいいのだが、おっきな迷子になるには、魔法使いは大人過ぎた。
プライドが邪魔して、そんなことはできなかった。
「あった!」
取り出したのは緑色のひも。否、髪の毛だ。
魔法研究に使うため、事前に収集していたものだ。
探せば、剣士や舟長の分もあるはずだが、とりあえず近くにはない。
「これの持ち主を探して! ポインター!」
斧戦士から採取された髪の毛を媒体にして、魔法は発動する。
ポインターの名通り、矢印が表示される。
しばらく迷った矢印は、魔法使いの後ろを指し示した。
「ありゃー? 斧戦士さん、そこにいるの?」
魔「壁だ」
斧「見つかっては仕方ない。斧戦士さんはここでした」
魔「もー! どこ行ってたのー!」
舟「またストーカーが増えそうな魔法だな」
ア「ストーカーの髪を手に入れればいいんじゃない? 逆探知できるし」




