M-269 ビッグマム
ビッグマム
大きくしてそれで?
「そういえば、魔法使い」
「むむー? 舟長、どうかした?」
「おまえの返事っていつも珍妙だな。いや、そうじゃなくてな」
魔法使いは不思議そうにしている。
「このあいだ、松明剣を作っただろ?」
「松明……剣?」
「ほら、ガラスみたいに透き通った剣の魔法具に、ミラーライトを込めてただろ」
「ああ、ライトニングソードね!」
「あれってそういう名前だったのか……」
舟長は新鮮な驚きに包まれつつ、魔法使いに聞いた。
「どうやって手のひらサイズだった魔法具を、普通のロングソードみたくしたんだ?」
「ロングソードとか……」
「言わせねーからな」
「むむ。簡単だよ、大きくする魔法を使ったの」
「おまえ、あの短時間で二つも魔法を考えたのか、スゲーな」
「えへへー」
舟長に褒められた魔法使いはとっても嬉しそう。
舟長は畳みかけた。
「その魔法、ちょっと教えてくんねーか?」
「いいよ!」
なんの疑問も持たず、素直に頷いた魔法使い。
舟長はほっと胸をなでおろした。
恋人に使いっ走りにされているなんて、男のメンツにかけて言えるはずがない。
「舟長が大きくなりたいの?」
「身長的に言うと、おまえよりも大きいのですが」
「じゃあもしかして、下半身的なアレ?」
「違うわ! おまえ、仮にも女の子なんだから、少し気を遣え!」
舟「何だこの名前……大きい母ちゃんか?」
魔「ミニマムって魔法を参考にしたから、付けたの」
舟「ミニマム? どっかで聞いた名前だな?」
魔「ブルームコメットのときに、クイックミニマムなら使ったけど」
舟「それ、すっごい初期の話じゃねーか!」




