M-024 セージマター
セージマター
SP半減
「デスロックの消費SPが多すぎる? ヒーリングエリアをもっと気軽に使いたい? ならばこれだ! セージマター!」
きらめく謎の粉が舟長と魔法使いを包み込んでゆく。
舟長しかいないのは例によって他のメンバーが出掛けているからだ。
一人お留守番を頼まれた舟長は一人じゃないことを知って、とても安心したそうな。
「なんだ?」
「主語をかかさず!」
「フルブーメラン乙。この魔法なに?」
「聞いてなかったの? SP消費が二分の一になるの」
聞いてなかったの、ではない。魔法使いさんがしゃべってくれなかっただけである。まあ、SP消費を軽減することは、彼女のセリフから推測できたかもしれないが。
「SP半減?」
「舟長眠たそうね。魔法で起こしてあげようか?」
「オールクリアで頼む」
「自然現象の眠気は、スリープクリアじゃ治せないので」
ので、と言って杖を持ち上げる魔法使い。舟長はその瞬間目が覚めた気がした。
「起きたからストップ!」
「エナジーフォース!」
可哀想に、舟長は死んでしまった。状態異常を治すのと戦闘不能を治すのとでは消費SPが全然違うのだが、魔法使いはためらわなかった。セージマターを使ったあとだからだった。
「……」
物言わぬ舟長。倒れた肉体の上に垂直に浮かぶ、舟長の魂は恨めしげにこっちを見てる気がする。
いや絶対こっち見てる。だって黒いオーラまとってるし。今にも悪霊になりそうな勢いで怨恨としてるし。
「……リバー、イブしないっ」
魔法使いは無視することに決めた。こそこそと自分の部屋に戻っていく魔法使いを、舟長の魂はどこまでもじっと見ていた。
そして、仲間が帰ってきてようやく生身に戻れた舟長が、素知らぬ顔で下りてきた魔法使いを、猛然と追っかけ回したのは言うまでもない。
「魔法使い、テメー!」
「ひゃー! 舟長がとうとう悪霊になったー!」
「誰が悪霊だ、こちとら生身だっつーの!」
魔「セージマターの活躍シーン少なくね?」
舟「だいたいおまえのせい」
魔「まままあ、セージマターは、SP50、使用後にすべてのスキルの消費SPを半分にするよ」
舟「どっちかっていうと、装備品で永続に欲しいな」
魔「……考えとくよ」
舟「マジで出来んの!?」




