M-252 ワンドスタッフ
ワンドスタッフ
二つの杖がなんか、こう、頑張る!
「だんだんいい加減になってきたな」
「ほ?」
「どんな驚きかただよ。なんだ、この杖はまた触っちゃならんやつか?」
「うん。あと三時間ぐらいこのままかな」
魔法使いは自身も杖に触れないよう、うまく立ち回る。
今日浮かんでいる杖は二本。
ワンドとスタッフだ。
名前が分かるのは、タグが付いているからである。
「細かく動いているな」
「事前に設計図を書いておくんだよ」
「斧戦士に書いてもらったのか?」
「ううん。なんで?」
「なんでっておまえ……設計図なんて自分で書けないだろ」
「そんなことないよ! 書けるもん!」
バッと何か紙を取り出す魔法使い。
場外で起きているケンカなんて知らず、杖は動き続けている。
「あ、これじゃなかった」
「おいおい……」
「こっちね、こっち」
魔法使いが見せたのは、相変わらず記述がぐちゃぐちゃな、魔法陣だった。
もちろん、舟長は魔術師じゃないので魔法陣は読めない。
「これ、魔法陣じゃねーか!」
「そうだよ! 魔法の設計図って言ったら、魔法陣でしょ!」
「魔法の設計図は確かに魔法陣だが、設計図の……ありゃ?」
「どうだ、混乱してきただろう!」
「当初の目的忘れてるだろ、おまえー!」
舟「編んでる」
魔「うん。一応、なんでも作れるんだよ。魔法で動く3Dプリンターってとこかな」
舟「あのさ、魔法使い。これ、ファンタジー小説なの。知ってる?」
魔「知ってるに決まってるじゃん」
舟「だったら、具体例にまだ存在しないテクノロジーを出すのはやめろ!」




