M-250 スパイダーズシルク
スパイダーズシルク
魔法の糸
「なんだ、そのダンジョンを脱出できそうな感じの魔法は」
「え?」
「あ。いや、なんでもない」
魔法使いの頭上に散乱するハテナマークを見て、舟長は発言を取り消す。
浮かんでいくハテナマークが、天井で引っかかっている。
「なあ、それ何してんだ?」
「これ? 糸が出てるよ」
「いや、それは見れば分かるんだが……」
舟長は、魔法使いの前に立ちふさがる黒い影を見た。
クモの形をしている。
確か、魔法使いは虫のクモが嫌いだったはずだ。
そんなことを思いながら反対側に回ると、魔法使いの向こう側に杖が浮かんでいるのが見えた。
「これは?」
「あ、ダメ。触っちゃダメ」
「……あのな」
「今、糸を作ってるところだから。出来上がるまで触っちゃダメだよ」
「糸?」
「うん。これで斧戦士さんにストールを作ってあげるんだ」
「ふーん。ストールをね……え?」
よくよく聞いて、呆然とした舟長を放置して、魔法使いは杖の監視に戻る。
開始から二時間。
出来上がった糸は、手のひらサイズの毛糸玉になっていた。
魔「あともうちょっとあればいいかなー」
ア「時間の割にたくさんできるんだね。あとで分けてもらってもいい? ボクも舟長になにか作ってあげたいんだ」
舟「おい、魔法使いに作らせていいのかよ!? あいつ、センス壊滅的だろ!」
斧「舟長。男として食いつくとこはそこでいいのか?」
剣「だいたい、斧戦士が魔法使いの作ったものを拒否する訳ないだろ」




