M-234 サクリファイスヒール
サクリファイスヒール
知力が低い人向け
「キャハハ、やだ、みんな瀕死なのにあなただけ生き残ってる!」
「魔法使いさん……アサシン……剣士……あと、舟長」
「なんでオレの名前だけ差別的なんですかね」
「意外と元気じゃないか」
特殊な状態異常「呪毒」を受けたスカイアドベンチャーは、四人が瀕死の状態だった。
即死+通常の全状態異常をカバーしている剣士すらも、その毒牙に敗れてうずくまる。
その効果は、最大HPを1/10にするというもの。
一番体力の低い魔法使いなんかは、最大HPが156になってしまった。
こんなんじゃ、通常攻撃を食らっただけで倒れちゃうぜ!
あ、それはいつものことか。
「ディスペルハーブは効果なしか……」
「ウチの世界観ではオールキュアというのですが」
「ヤツを倒す手段は……」
「あ、聞いてないわ、これ」
ただ一人だけ、回避が成功して攻撃を免れていた斧戦士は、攻撃を仕掛けてこない敵をいいことに長考に入る。
アイテムでも回復魔法でも治らないのなら、戦闘終了もしくは術者の死によって魔法を解くしかない。
斧戦士は武器を握りしめた。
イチかバチか……ベルセルクアタックを唱えようとしたときだ。
魔法使いが、懐から出した紙を斧戦士のほうに投げる!
だいぶズレたが、まあ、届いたのでよしとしよう。
斧戦士はくしゃくしゃの紙を広げて中身を見た。
「サクリファイスヒール」
満タンだった斧戦士の体力が減る。
その減った数値分、四人の体力が回復した。
斧「オーケー、把握した」
魔「わたしが斧戦士さんの体力を回復し続けるから!」
剣「ステータスが下がってないのが幸いだぜ。オレは魔法使いを『守護』する!」
舟「アサシン、あのふざけた野郎をぶちのめすぞ!」
ア「野郎ってキミ……相手は女の子だけど。まあいいか。行くよ!」




