M-226 ファイブパワー
ファイブパワー
五人の力を合わせて!
「エナジーフォース!」
「魔法がダメなら、物理で……ベルセルクアタック!」
「……はあ、はあ、はあ」
「うーん、これは……」
スカイアドベンチャーのアタッカー、魔法使いと斧戦士の前に立ちはだかっているのは。
結界。
別名、障壁とも呼ばれるそれは、定められたキーがないと解除されないことになっている。
見えない壁に向かって技を繰り出す二人。
何故、カギを探しに行かないのかというと、そこには複雑な事情があった。
「あのガキンチョども……」
「知ってて逃げ込んだんだね」
「やっぱり盗み対策魔法って最強だな」
この洞窟の近くにある村で、英気を養っていた五人。
いざ、ダンジョンに参ろうというときに、魔法使いが慌て始めた。
「わたしのギルドカードがないー!」
別になくても困らないギルドカードをなくしたというのだ。
斧戦士が全力を出して犯人を捜しだしたところ、それはこの村一番のいたずらっ子の仕業であり、いまはどこかの洞窟に隠れ潜んでいるのだという。
今日のダンジョン探索は諦め、洞窟を探し当てたスカイアドベンチャーは交渉に入るが。
さっくり失敗。
子どもは持っていたキーでさっくり障壁を乗り越え、洞窟の奥へ。
今に至る。
「ならば、斧戦士さん、同時攻撃だ!」
「オッケー。魔法使いは好きなタイミングで行ってくれ。おれが合わせよう」
「行くよー! エナジーフォース!」
「ベルセルクアタック!」
ピシリ。
ひびが入ったようだ。
だが、割れて壊れるような感じではない。
もう一息と一息と一息と(中略)……一息! って感じである。
魔法使いは、後ろで休んでいる三人をちらりと見る。
「っていうか、ギルドカードなんか失くすヤツ大量にいるだろ」
「しゃーねーな。ギルド行って、再発行してもらおうぜ」
「もしかして、今のままだとテレポーテーションが使えなかったり?」
「あるかもな。まあ、歩いて行けばいいだろ?」
「まあね。そう遠くないし」
三人は雑談していた。
というか、もうガキンチョのことなどどうでもらしい。
とりあえずギルド行くって話になっている。
魔法使いは、もう一度視線を後ろにやる。
アサシンが気付いた。
「どうかした? 魔法使いちゃん」
「いや、今のでひび入ったから、五人で総攻撃すれば行けるんじゃないかと」
「総攻撃……? うっ嫌な思い出が……」
「そんなんあったっけ?」
「おまえはいなかったからな」
よいしょ、と腰を上げ、それぞれの武器を構える三人。
四人は魔法使いのほうを見た。
先陣を切るのは、魔法使いの役目らしい。
「よし。じゃあ、エナジーフォース!」
「ベルセルクアタック!」
「アサシンレイズ!」
「シールドバッシュ!」
「サードスラッシュ!」
バリバリ……! どかーん。
障壁はガラスのように砕け散って消えた。
用は済んだとばかりに、五人は身を翻す。
「じゃあ帰るか」
「うむ。満足した」
魔「結構叱られたけど、ギルドカード再入手だぜ!」
舟「そういえば、ガキンチョ忘れてた」
ア「ガキンチョもギルドで再発行してもらう?」
剣「冒険者ギルドは人身売買の市場だったのか……」
斧「穏やかじゃないね」




