M-214 ブラックランス
ブラックランス
意味はないけど、色を変えられます
「ちっ、やはり避けるか。ならば、こうするまでだ!」
斧戦士が空を飛びながら両手を大きく広げた。
標的は、サンドバッグ。
彼女を傷付けた、憎き男だ。
そのサンドバッグは、というと、彼は自身の身体に刺さった黒い矢印みたいなものを、一生懸命抜こうとしていた。
しかし、攻撃が再開されたのを見て、刺さったまま警戒状態に移行した。
「両端を黒いので塞いで、真ん中に入ったとこを狙い撃ちする気か? そんなにオレを甘くみないでほしいぜ」
「なにか言ってるが、まあいいか。よし、行け!」
「ええー、そこは作戦を変更しようぜ……。いいか、相手はあいつだし。アドバイスすることもないだろう」
げんなりしたサンドバッグは、作戦を変更して真ん中に押し入った。
彼はこういうのが好きなのだ。
あえて相手の作戦に乗ったふりをして、それをめちゃめちゃにしてやることで相手を煽るのが。
大好きなのだ。
よろしくない趣味を展開するサンドバッグの様子に、斧戦士は動じない。
長い付き合いなので、ヤツが思っていることぐらい、簡単に推測できる。
「ほうほう。それで? 何を見せてくれるんだ?」
「超ヨユーそう。笑える」
「超ヨユーだよ。さあ、死ね!」
矢印を空いっぱいに並べる斧戦士。
右手に持つ黒矢印を振り下ろすと、大量の矢印は各々サンドバッグめがけて飛んでいく。
完全に世界観と時間を無視して戦い続ける二人を見守り続ける人物がいた。
パスタと残りのスカイアドベンチャー四人だ。
長い間、暇そうに友人の戦いを黙って見ていたパスタが、今、口を開く……!
「なんであいつ、色付けてんの?」
斧「もとはこれ、無色透明なんだぜ。えっへん」
魔「つよい」
舟「おい、語彙力……」
剣「へえ、それで、のこのこ真ん中に出てきたサンドバッグが吹っ飛ばされてたのか」
ア「素直に、黒いのの外側に逃げてれば良かったのにねー」




