M-213 クラウドブリッジ
クラウドブリッジ
雲の架け橋
ここは、スカイアドベンチャーのおうちから、次元でいうところの30ぐらい離れた世界。
地上界と天界が存在する世界で。
天界に住む一人の男は困っていた。
「まじで?」
「ええ、向こうの友人がそう言っていました。ただし斧を持っていたということですが」
「斧……? あいつの得物は剣だったはずだよな。この[ピー]年のうちに変わったのか」
「お行きになられます?」
「ああ。おまえもついてくるだろう?」
「はい。わたしはかの人に会いたいがために、あなたの補佐官になったのですから」
陶酔した笑みを浮かべる部下をちらりと見て、男は一つ離れた国に向かう。
天界の区分は、地上界に倣っている。
天界では、アジア近辺を司る彼は、日本の真上にある国へ乗り込もうとした。
しかし、その必要がなかったことに気付く。
雲と雲のあいだ。いわば国境に、細い道が敷かれていたのだ。
男は、部下を伴って目を細めた。
ずいぶん昔に聞いた懐かしい声が近づいてくる。
「あ、誰かいるよ」
「ん? パスタじゃないか」
「誰だよ、パスタって」
「古い知り合い」
「サンドバッグよりもか?」
「ああ。魔法使いさんとも旧知の仲だ」
「ほーう。で、どっちがパスタ?」
「あの茶髪のほうね。背の高いほうは知らん」
パスタと呼ばれた男は、緑髪の彼を殴るべきかどうか真剣に悩んだ。
ちょうど、こっちも用があったからいいものの、つーか、そいつら誰?
二人は見たことあるけど、ほか三人誰?
明らか、日本人じゃない見た目してるけど、誰?
「パスター!」
細い腕を振って、自己主張する彼女に、男は吼えた。
「パスタじゃない!」
魔「紹介するね、この人、パスタ。斧戦士さんの友だち」
斧「すごく語弊のある紹介を食らった気がする」
P「同感だ。って、パスタじゃねーよ!」
ア「ユー アー スパゲッティ?」
剣「のー」
舟「っていうか、この道、片足分しかねーじゃねーかよ、平均台かよ」
魔「通れるだけましと思いたまえ」




