A4-212 ボムット(邪)
ボムット(邪)
このために作られた魔法具である
「やあ、サンドバッグ」
「お? なんかこいつ機嫌いいね。彼女と――おっと危ない」
彼女のことに言及したらこの有り様だ。
黒い矢印みたいな槍が、鉄格子を貫通して男を貫こうとした。
せまい牢屋のなかで器用に避ける罪人。
緑髪の彼は舌打ちをした。
気に入らない。
「まあ、いいか。これはおまえへのプレゼントだ」
「ええー。どうせ、発信機ってオチなんだろ?」
「発信機はおまえの体内に既にプレゼントしたぞ?」
「……新しい発信機じゃないのか。じゃあ、なんだろ」
男は、彼から赤い宝玉を受け取り、光にかざした。
男の瞳が、宝玉のなかのスキルを探ろうとする。
「わかんね」
「おまえにしてはあきらめが早いな」
「ろくでもないプレゼントってのは分かった。オレにはそれで十分さ」
「ふーん。じゃあ、これを肌身離さず持ってること」
「ガチでプレゼントじゃん、気持ちわる」
「埋め込んでやってもいいけど?」
「サーセン」
男は軽く謝ると、何もない空間からネックレスを取り出した。
飾りの部分を赤い宝玉に変えると、首から垂らす。
「はい。これでいいだろ」
「……楽しみだな」
珍しくニコニコしている彼は、ニコニコしたまま牢屋を去っていった。
男は再度、宝玉を瞳の前にかざす。
「エナジーフォース、か。確か彼女のトレードマークだよな?」
彼女お手製の魔法具を渡された意図が分からず、男はしばらく唸り続けた。
斧「オプションで首輪にもできます」
?「そんなオプションいらないです」
斧「うるさい、ボムット」
?「なっ、ちょっと、危うく心臓がえぐれるとこだったぜ!?」
斧「あれ? 思ったより爆発が小さい……? 今度、別の魔法を入れてもらおう」




