M-196 ブレイカー
ブレイカー
魔導集中回路
「説明しよう!」
声を張り上げているのは魔法使い。
スカイアドベンチャーの魔法アタッカーだ。
彼女はいま、使い物にならなくなったブレイカー、もとい魔導集中回路を見上げていた。
完成したバチバチクリアを、倉庫にいた舟長にかけて以来、家中にあった魔導製品は動かないままだ。
問題は、バチバチクリアの性質にあった。
「バチバチクリアのせいでこの異常は起きているという仮定の下、検証実験を行う」
バチバチクリアは静電気の除去を目的に作られた魔法。
一回目の改造では逆に電気を集める魔法になってしまっていた。
それを回避するために、魔法使いは効果を強くし過ぎた。
舟長を中心とする半径25メートルのすべての電気魔法を無効化する。
これが、魔法使いがバチバチクリアの記述したことだ。
「25メートルという範囲。これを満たさなければ、また再び魔導機器が動くようになるのでは。わたしはそう推測した。よって、舟長にはちょっと遠出をしてもらっている」
「といっても、飛行船で移動してるからちっとも大変じゃないけどね」
「歩いてくと、近隣の住宅にも影響が出るかもしれないしな」
「そして、いま。舟長から連絡が入った。ちょうど50メートルほど離れた地点を通り過ぎたと!」
魔法使いは魔導集中回路を起動させる。
唱えるスペルはライト。
この世界で最も簡単とされている魔法だ。
そこらへんで遊んでいる子どもでも唱えることができる。
「さあ、アサシンちゃん。魔導製品を動かしてみて」
「分かったよ。ポチっとな」
スカイアドベンチャーのおうちに、数日振りの室内灯が稼働した。
魔「やっぱり、舟長のせいだった」
舟「バカ言え。もとはといえば、不用意に魔法をかけたおまえのせいだろ」
魔「ええい、うるさい。これでもくらえ!」
舟「少しは反省して、オレに魔法をかけるのをやめろ!」
魔「ディスペル!」




