M-195 チップライト
チップライト
超細型懐中電灯
「そういえば、昨日の魔術研究の副産物でさ」
「副産物? なんか失敗したのか?」
「ちがーう! 逆だよ、逆! もう一個魔法が作れたの!」
魔法使いは机をたたいた。
机の反対側にいる舟長は、困った顔をしている。
なにもそんなことで怒らんくともいいじゃんか。
「それがこれ」
「なんだそれ? ちいさい紙の欠片か?」
「まあ、物自体はそうなんだけど。……チップライト!」
「光った!?」
「ふふ。手に持っているものを光源にすることができるのだ」
「ほう。なんか活用は考えてあるのか?」
魔法使いはニタリと笑う。
不敵な笑みだ。まさしく敵などいないのだろう。
「抜かりはない。ここに細長い段ボール髪があるじゃろ?」
「オーキドさんは帰って」
「もう、仕方ないなあ。この長い立方体のてっぺんに、チップライトで光らせておいた紙を張ります」
もう、みなさんはお分かりのことだろう。
ペンライトのように細く伸びる光。
魔法使いが握るそれは、まさに!
魔「懐中電灯です」
舟「張り付けてからじゃ光らないのか?」
魔「手のひらからの距離が長すぎて無理」
舟「じゃあ光消したら、ただのゴミじゃねーか」
魔「……舟長のばかあ。ぐすん……」




