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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
本編(Mシリーズ+Aシリーズ)
20/527

M-018 エロエロビーム


エロエロビーム

官能魔法




「くらえっ、エロエロビーム!」

「おれは突っ込まんぞ」


 頑なな舟長に放たれた魔法は、一体どんな効果があるのだろうか。舟長に取りあえず変化はない。

 魔法使いは首を傾げた。


「あれ? いまエロエロビーム食らったよね? 調子どう?」

「なんともないが……それよりそのネーミングなんとかしろよ、小学生じゃあるまいし」

「エロエロビームって本に書いてあったんだよ! わたしが付けたんじゃない!」


 魔法使いは大騒ぎした。が、舟長には効果がなかった。それどころか舟長は、ずいっと寄ってきて、言ったのだ。


「おまえの方はどうなんだよ」

「わたし?」

「もしかしたら使用者に効果が出るタイプかもしれねーだろ」

「えっビームなのに? 官能魔法がわたしに? 誰得なの? いったい何が得すると思って魔法が作られたの? オナニーなの?」

「ホントにどんな効果が出る魔法なんだよ!」

「自己満なの?」

「たぶんそっちのオナニーとも関係ないと思う」


 舟長は冷静に突っ込んだ。

 結局、初心も忘れてツッコミに回ってしまった舟長だったが、その変な魔法には興味があった。男のサガであろうか。

 なんであれ、とにかく書かれていた本を持ってこい、と言われた魔法使いはどたどた階段を駆け上っていった。


「エムエムビームかもしれないし、まだ希望は捨てるんじゃない」


 どたどた階段を下りてくる音がした。もちろん、魔法使いだ。辞書ほどの厚みのある本を抱えていた。随分古い本のようだ。書いてある中身が不安になってきた舟長。早速指定のページを開かせる。


「どこだ?」

「これ」

「エロエロビーム。うん確かに書いてあるな」

「繁殖を活発にさせる魔法」

「繁殖……? まさか、魔法をかけられる対象に条件があったりしないよな?」

「あっ、家畜と植物限定だって」


 今度こそ舟長はほっとした。緊張が解け、身体中から力が抜けていくのが分かる。


「どったの舟長、床に埋まって」

「あのな。オレが本当におまえを襲ってたらどうする気だったんだよ」

「大丈夫だ、すべての状態異常はディスペルで治る!」

「どこの世界観だ。うちはオールクリアだろ」

「そうだった。まあ、最悪斧戦士さんが助けに来てくれてたと思うよ」

「オレは?」

「八つ裂きになるか、真っ二つに斬られるか。でもいつもうっかり攻撃受けてるから大丈夫だよね?」

「あのさ、本気の攻撃とお遊びの攻撃は違うんだぜ」


 思わず口調も変わる舟長。

 冒険の中で、それぞれの本性も分かってきた。斧戦士がいつもより本気でキレたところも見たことがある。人を超えた力で人間をなぶる姿も。

 あんな攻撃を受けると分かっていれば、たとえ魔法で発情されたものであっても一瞬で萎える。気がするではなく絶対。


「このへん動物いないし、植物にでもかけてみようかな」

「おまえ、オレの話聞いてた?」

「聞いてたよ。むやみに人体に魔法を向けるなって話でしょ?」


 危機感皆無な仲間の様子に舟長はあきれ返るよりほかになかった。もう一度説明するのも癪だったし、魔法使いは既に舟長の方を向いていなかった。


「そういうことじゃないんだかな……」


 舟長の呟きは誰にも届かなかった。






魔「植物にエロエロビームかけたけど、こう、特になにも変わんなかった」

舟「ふーん。自家受粉するタイプじゃないとダメなんじゃね? あと季節」

魔「次は家畜かあ……やっぱ勝手にやっちゃまずいよね」

舟「当たり前だろ」

魔「いまいち分からんままで終わってしまった。これで感想文書くのは無理だな」

舟「……感想文!? 魔術書で!?」

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