M-183 アタックブロー
アタックブロー
ステ借ります
「舟長、くらえ!」
ぽこん!
魔法使いが唐突に、舟長の頭を杖で小突いた。
舟長は読書中。
ダメージこそないが、ちょっと物申したい雰囲気ではあった。
「魔法使い、オレは少し言いたいことがある」
「微塵もHPバーが動かないなんて……」
「おい、聞いてんのか」
「だがしかし! この魔法を使えば!」
アタックブロー!
そう唱えた魔法使いは再び舟長を杖で小突いた。
ぼこん!
舟長はへこんだ。
「いってえ! なにしやがる!」
「うひょ。大成功!」
一部始終を聞いていなかった魔法使いは、嬉しそうに跳ねてどっかに行く。
舟長は減った自分自身のHPバーを眺める。
三分の一ぐらい減った……どういうことだ?
「ヒール」
アタックブローという名前からするに、アタック……攻撃力を、ブロー……誰かから借りた?
こんなに攻撃力があって、魔法使いに協力的な人物と言ったら、ひとりしかいなかった。
「お宅の魔法使いがどんな教育してるのか聞いてやる」
舟長は、斧戦士に文句を言いに行った。
魔「久しぶりに斧戦士さんの部屋を尋ねたら、引き裂かれた舟長が転がっていた」
斧「まれによくあること」
魔「ちなみにこの魔法、攻撃力だけじゃなくて、いろんなステータスを借りられるよ」
斧「厳密にいうと、その人の一番高いステータスを借りられるんだ」
魔「一戦闘分ぐらいは持つはず」




