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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
本編(Mシリーズ+Aシリーズ)
18/527

M-016 レインボーシュート


レインボーシュート

花火魔法




 ここ、ロデス諸島は夜の景色が美しいことで有名だ。学園都市であるピュアノスのすぐ近くにあるロデスには、毎年この時期に多くの学生が集まる。生徒たちがなにをするかというと、花火大会の観賞だ。

 スカイアドベンチャーも、今年初めてロデスに訪れた学生の一人だった。


「魔法使いは、花火の運営の方に回ってるんだっけ」

「残念だよね、魔法使いちゃんこういうの好きそうなのに」

「まあ、全属性扱える魔術師ってのは珍しいだろうし。仕方ねーよ」

「……」


 そう、この時期ロデスに集まる学生は二つに別れる。一つはこうして花火大会を楽しむ学生。もう一つは、魔法学園の生徒だ。

 バトルメイジを目指す生徒たちにはそれぞれ得意な属性魔法があり、とある魔法を使うとそれが色濃く反映されるのだとか。その反応を使って上げるのがロデスの花火大会である。

 例えば、月陰魔法と日陽魔法が得意なシオン少年は銀と金の花火を、炎魔法が得意なディネ少年は赤い花火を、それぞれ扱うことができる。

 そして我らが魔法使いは、日陽魔法と月陰魔法、それから影魔法を除く全属性魔法が得意なので、面白がったここの運営の人が連れていってしまった。本人は、『絶対混色してとんでもない色になるって、やめておいた方がいいって』と最後まで反対していたのだが、それでも連れてかれた。

 南無三。


「お、早速上がるってよ」

「色からどんな人が上げてるのか予想するのも楽しそうだね」

「まあ、言うほど魔法課の生徒知らねーんだけどさ」

「……」


 斧戦士以外が会話を弾ませる。彼がずっと黙っているのは、単にテンションが低いからである。怒ってる訳ではない。


「ええと、炎が赤で、水が青で……」

「氷は?」

「銀に近い白だった気がする」

「アサシンがレインボーシュートすると、どんな感じになるのかな」

「見てれば分かるさ」

「……」


 斧戦士が目を閉じる。


「魔法使いちゃんの出番はまだ先?」

「先。具体的に言うと十二個ぐらい先」

「便利なんだかなんなんだか」


 一方その頃、すっかり降参した魔法使いは、花火魔法のための準備をしていた。

 花火魔法はなにかにぶつかったときに炸裂する魔法で、いまは夜中だから見えないけれど、空中に黒い玉があるので、それにぶつければいいこと。万が一失敗しても黒い玉はいくつかあるので心配しなくてもいいこと。

 ふむふむ、と頷きながら魔法使いは疑問に思った。


「これはモンスター相手には使えないの?」

「かなり範囲が広いからね。近くで使うと危ないんだ」

「使えないのか……がっかり」


 周りの生徒がギョッとしたのも構わず、魔法使いは言う。こんな平和的な使い方をしている魔法を、あえて戦闘で使おうとすることに驚いたのだろう。

 バトルメイジたる者、如何なるものも戦闘に転用すべし。まだまだだな、と魔法使いさんは思った。


「レインボーシュート」

「レインボーシュート」


 いよいよ魔法使いの番が迫ってきた。

 岸を挟んだ向こう側では、舟長がたまや〜と呟き、斧戦士の目が開く。


「レインボーシュート!」


 大きな太白星が咲いた。






魔「得意属性は無属性でした。あのあと滅茶苦茶乱れうちした」

舟「あのスターマインもおまえだったのか」

ア「あんまり属性が多いと混じらず、ランダムで出るようになるのかな」

剣「いい景色だったぜ」

斧「魔法使いさんのが一番綺麗だったよ」

魔「えへへ……」




斧「レインボーシュートは攻撃魔法の範囲拡大を狙って開発された魔法です」

魔「なにそれ、どこに書いてあったの?」

斧「花火大会のパンフレット」

魔「まじか。けどあれ、被弾した中心部分には攻撃判定がないわ、スカスカで周りの敵には当たらないわ、厚みがないから空飛んでる敵とかに当たらないわ、欠陥部分多すぎだよ」

斧「実用魔法じゃなくて、実験の為にだけ作られた検証魔法ってとこかな」


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