M-175 ラグタイム
ラグタイム
吹っ飛ぶ2
「そういえば、イージーモードについてだけどよ」
舟長が、魔法使いの考案したまほうのせいで、頭にたんこぶを作った夜。
舟長は食卓で、こんなことを言い出した。
「あれってケイエ――モードだよな」
「え? 舟長、なんて?」
「ケイ――モードだって」
「急に聞こえなくなったような。もっと大きな声でいうのはどうだ?」
「ケ――モード!」
「……」
真相を知った斧戦士が、視線を逸らす。
舟長たちが、わいわい騒いでいるなか、いつも真っ先に加わろうとする人物はじっと黙っている。
黙って、舟長の動向を見逃さないように待っている。
「ちょっと違う表現してみるのはどうだ?」
「クソゲ? あ、言えた」
「しまった、ミスった」
「なにがミスったんだ?」
「な、なんでもないよ」
「分かりやすい嘘をつくヤツだな」
バレバレの動向に、舟長は知る。
さっきの妨害行為の犯人は、魔法使いだと。
「そっか。ネタバレ防止か」
「な、なにが?」
「いや、オレも悪かったぜ。なにも考えないまま、言っちまって」
「……???」
困惑する魔法使いを放置して、舟長は一人納得したようだった。
舟「今日の魔法はなんていう名前なんだ?」
魔「ラグタイム」
舟「うおっ、時計が……。なあ、これって」
魔「時を飛ばす魔法」
舟「ピー音の代わりに使うもんじゃないぜ、もったいない」




