M-166 ザ・ムービング
ザ・ムービング
なんでそんなものを魔法具にしたし
「斧戦士さん、みてみてー」
「おお。これは……瞬間移動?」
「なかなかおもしろいでしょー」
「うん、構造はホログラムか、これ」
薄っすらと開いていたドア。
漏れ聞こえる声に、舟長は興味をひかれた。
ホログラムじゃなくて幻影とか言えよ……と思いながら、魔法使いの私室を覗き込む。
「よう。今日は何の魔法のお披露目会だ?」
急に顔をのぞかせた舟長に対して、魔法使いは辛辣だった。
「キャー、舟長のエッチー」
限りなく棒読みに近い言われ方に、舟長はイラッとくる。
「なにがエッチだ!」
「まあ、こういうときのお約束だから。仕方ない」
「今やってるのは、ムービング魔法だよ。魔法具にすると、おもしろい動きを見せてくれるの」
お約束が終われば、切り替えの早い魔法使いである。
彼女は舟長を部屋の奥へと案内する。
そこには……高速で動く、イーゼルがあった。
舟「もっと相応しいものはなかったのか?」
魔「ちょ、ちょうど処分予定のイーゼルがあったので……」
斧「ふむ……つまり、当たり判定のようなものを付随させることによって……」
ア「あれ? 倉庫にあったイーゼルどこ? 薪にしようと思ったのに」
剣「おい、なんだその高速移動してる白い物体は」




