M-165 リターンクロス
リターンクロス
似てるけど違うよ
「十字架って、戻ってくるんだね」
魔法使いがなにかのゲーム画面を眺めながら言った。
画面のなかでは、主人公がブーメランのように十字架を投げている。
「よし、これを参考にして魔法作ろっと!」
魔法使いは誰もいない部屋で呟くと、すぐ近くにあった机へと向かう。
自分の部屋の机は小さいが、すぐわきのタンスには魔法を作る上での道具がいっぱいだ。
使い勝手はリビングの広い机よりいいのだ。
「ええと、全画面に十字架を散らして……」
「あ、だめだ。記述が多すぎる」
「せめて戻ってくる機構ぐらい作りたい!」
「ならば……連続攻撃だ!」
切羽詰まってくるにしたがって、叫ぶ魔法使いである。
しかし、この状況誰も文句を言ってこなかった。
約160日分の積み重ねは大きい。
みんな、慣れっこであった。
「できたー♪」
ウキウキ魔法使いは、どかんと自室のドアを開けた。
それから、階段を慎重に降りていく。
ウキウキしたまま降りて、足を滑らせないようにだ。
それからそれから。
リビングに行ってみんなに報告するのだー!
魔「発動させると背中に中くらいの魔法陣8個を背負うよ」
舟「その魔法陣から十字架が出てきて、行って帰ってくるのか」
魔「基本、そうだね。ブーメランを参考にして作ったから、戻ってこないと次の十字架は出てこないよ」
斧「そこはどこぞの赤い十字架とは違うんだな」
剣「一画面、埋め尽くす十字架を最初に作ろうとしてたよな、魔法使い」




