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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
本編(Mシリーズ+Aシリーズ)
164/527

M-160 フールオブマスク


フールオブマスク

前が見えねえ




「なんと。もうこんな時間か」


 現代日本で生きる乙女は、時間に急いでいた。

 今日からアルバイトの初日だというのに、遅れそうだったのだ。

 急いで布団を蹴散らし、パンをくわえながら着替えを済ませ、ちゃんとパンを食べ終わってからバス停に急いだものだから、時間が忙しくなっていた。

 理想は、8:15のバスに乗ること。

 そのためには、5分前にはバス停にいなければならない。

 田舎のバスは、時に早く、時に遅いのだ。


「ふおおおおお!」


 女らしさとか、建前とか、すべてをかなぐり捨てて乙女は走る。

 交差点に差し掛かった。

 目指すバス停はあと少し。

 良かった――まだバスは来ていないみたい。

 点滅し始めた信号を渡り、ふと気づいた。

 目の前に桃色の自動車がいる。


 最初に思ったのは疑問だった。

 なんで?

 曲がって……。いや、そうじゃない。見えてなかった?

 信号は黄色、普通なら止まるべきだ。

 そう、交通法にも書いてある。

 なのに、この車は曲がってきた。歩行者のいる横断歩道を!


 色々考えている暇はなかった。

 乙女は謎が渦巻く脳を放置して、回避を試みる。

 しかし、残念。乙女は典型的な運動不足ガール。

 回避は失敗し――。




「こうして生まれたのが、このわたしです」

「嘘つけ!」


 グラスアローの魔法使いは、堂々と嘘をついた。

 今日は嘘をついてもいい日だからといって、話が壮大過ぎである。

 舟長は三行ぐらいでまとめて欲しかった。


「ほんとうは桃色のトラックにしたかったんだけど、そんなのないからさー」

「仮にも異世界を名乗るファンタジー小説に、トラックとかいう単語を持ち込むな!」

「色付きトラックでもよかったか」


 テンプレの転生物語

 ただし、轢いたのは普通の自動車

 いつもの魔導研究所です


「トラックにする必要性ないだろ!」

「だってトラックはテンプレ上、重要なファクターだからさ」

「ファクターっておまえ、意味知ってんの?」

「ううん」


 舟長は盛大なため息をついた。

 ファクターという言葉はそこまで難しい言葉ではない。

 それを調べもせず使っている魔法使いにがっくりきたのだ。


「じゃあ、今日はこれだけー」

「待て、魔導研究所なのに魔法を紹介しないのはどうなんだ?」

「だいじょぶ、今回で三回目だからさ」

「何を根拠に大丈夫って言ってるんだよ!?」


 やけに突っかかってくる舟長。

 魔法使いは眉を寄せ、しばし考える。


「うるさい舟長だな。いいよ、だったら、こうしよう。エイプリルフールのフールを取って、フールオブマスク!」

「実は用意してたな、こいつ……ってなんだ!?」

「愚者には見えないマスクだよ」

「ネタバレ防止の黒い目隠しじゃねーか!」







魔「エイプリルフールのウソは午前中までなんだっけ?」

舟「ああ、なんかそういうよな」

魔「じゃあ、エイプリルフールのネタはいつまで?」

舟「普通に考えて、二日になったらアウトだろ」

魔「じゃあ、二日の0時に予約投稿しとこ」

舟「……現実と小説世界をごったにした発言をしないでくれませんか?」


※2018.4.1 無事、忘れずに投稿できたので、舟長の心配は空振りとなります。

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