M-159 モーションカット
モーションカット
長すぎるのも考えもの
「ジョブチェンジ:ガンナー」
斧戦士がそう言うと、斧戦士のシルエットがにゅっと空に飛び立つ。
ほどなくして戻ってきたピンク色のシルエットは、明らかに斧を所持していなかった。
長いコートのすそを払うと、シルエットは実体を得て、色がついた。
藤色のコートは、ガンナーをマスターした証。
左右の手に握られている金色の銃は、おそらくオリハルコン製だろう。
斧戦士は――いまは銃戦士というべきか?――、己の正面に向かって弾を撃つ。
今回は誰もいなかったので、弾は途中で虚空に消えていく。
それから、二丁の銃を真上に放り投げて。
斧戦士は、回転しながら落ちてきた金色の武器をキャッチして構える。
薄い紫色のコートが風にたなびいていた。
ここまで自動で再生される、ガンナーのジョブチェンジシーンである。
「相変わらずなげーな」
「ふう。これ勝手に手や足が動くんだよなー」
「確か、撃った弾は当たらないようにできてるんだっけ?」
「安心設計だよねー」
「そういう問題だろうか」
ガンナーな斧戦士は、変身しても持ちっぱなしな斧を外し、銃を装備する。
さっきは銃撃ってたじゃん! と思ったあなた。
あれはエフェクトですので。
いつでも、どんなジョブでも斧を持てるアビリティを付けている斧戦士は、たとえジョブ上はガンナーになろうと、自力で付け替えしない限り斧を持った戦士なのだ。
「で、魔法使いさん。今日の魔法は?」
「ふふふ。この鬱陶しいエフェクトを全カットするよ。モーションカット!」
「モーションカット!?」
「ジョブチェンジ:プリースト」
魔法使いがその言葉を発すると、僧侶姿にチェンジする。
本来、この間にもなっがいエフェクトがあるのだが。
荘厳なミュージックでも流したい感じの聖女っぽいエフェクトが。
「よっし! 成功!」
なお、僧侶と魔法使いは、ほとんどが装備を共有できるので、目立った変更はない。
唯一魔術師ジョブだけが装備できるウィザードローブ(高級品)が、魔法使いの足元に落ちていた。
斧「おお、これはありがたい魔法。使わせてもらおう」
ア「この五人組で頻繁にジョブチェンジ使うの、斧戦士くらいだものね」
剣「そうだなあ。基本的に武器も変更しないし」
魔「なんか、インパクトに欠けるんだよねー」
舟「おい、まず地面に落ちた高級品を拾え」




