M-153 ウォーターケトル
ウォーターケトル
湯沸かし器
それは、舟長を始めとするスカイアドベンチャー一行がダンジョンに挑んでいたときのこと。
魔法使いが野宿の時にこう言ったのだ。
「雪山は寒いね。お風呂が欲しい」
「ここで風呂に入ってもいいけど、出た瞬間がやばいよ、たぶん」
「だいたい、雪山で風呂なんか冷めるだろ。誰が常に過熱しておくんだよ」
「とりあえず、水が出て行かないように器を作らなきゃならねーな」
斧戦士以外の三人に酷評された魔法使いは、むーと言って黙った。
ちょっと言ってみただけなのに、この仕打ち。
ほろりと涙がこぼれる前に、魔法使いは斧戦士の言葉を聞いた。
「魔法でつくればいいじゃん?」
「その手があったか」
ポンと両手を打ち鳴らした魔法使いは、その辺の木に寄りかかって、さっそく魔法の構成について考え始める。右手には早くも魔法陣を書くための魔紙が握られていた。
数分後、魔紙に書かれた魔法陣を片手に、魔法使いは立ち上がる。
そのときだ。
立ち眩みか何かか、運命のいたずらか。魔法使いはよろめいた。
後ろの木にゴツンとぶつかり、痛みに目をつぶる魔法使いには暗闇しか見えていなかった。
直後、揺れたことによって発生した雪の塊が、魔法使いの姿を消し去った。
斧「大丈夫か、魔法使いさん」
魔「さむーい。帰りたーい」
舟「こんな時こそ風呂魔法だろ、使えよ」
魔「そうか。ウォーターケトル!」
ア「いや、湯舟ないから!」
剣「ああ、湯舟ないと水が自動的に炎に降ってきて鎮火させるのね。べんりー」
舟「濁流が押し寄せてきてるぞ、剣士、逃げろ!」




