M-150 サイレント
サイレント
沈黙の結界を張ろう
「昨日舟長のいびきがうるさかったのでこんなん作りました」
魔法使いの指摘を受け、舟長は困った顔になる。
当然だ。
いびきとは寝ている間に発生するもの。
当の本人が知らずにいるのも当たり前のことだ。
「あれはうなされてるって言うんじゃ……?」
アサシンがなにか言ったが、魔法使いはこの指摘を意図的に無視する。
ここでわき道にそれると、しばらく本線には戻れない気がする。
魔法使いはカッと目を見開き、持っていたお札をさりげなく柱に叩きつけ、詠唱を唱えた。
「サイレント!」
しーんと魔法使いの周りが静かになる。
「ちょ、ちょっとしゃべって……」
「……え? いま……て」
「おい、聞こえ……ぞ。くそ……効果……すぎだ……」
「ディス……ちっ……ないか……」
「……も対象とか……」
「対処……はなんだ、……使い!」
声がお札に吸い込まれていく中で、魔法使いは自分が呼ばれたのを確信する。
対処がなんたらと言われていること、この状況を顧みて、自分のなすべき事を察する。
魔法使いは黙ったまま、お札を引き剥がした。
魔「引き剥がした上で、上下に引き裂いたら止まりました」
舟「効果高すぎだろ! なんだアレ、ブラックホールかよ!」
魔「ほんとは人に向かって発動すると、高確率で沈黙の状態異常にするって魔法なんだけど。なんか色々聞こえづらくなってたね」
ア「声を聞きとるにはなるべく離れて、大声で話さないといけないね」
剣「防音魔法にはほど遠いぜ」




