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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
本編(Mシリーズ+Aシリーズ)
151/527

M-147 インベリアブル


インベリアブル

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「クソ生意気な魔法使いだな」


 舟長がそう言い捨てると、魔法使いは憤慨して杖を振り回した。


「あんだと? エナフォすっぞ」

「こういうところは変わんねーってことは……おまえ、本物の魔法使いか!」

「それはどういう意味だろうな? 舟長」


 別人説を疑っていた舟長は、あんな発言を、いつもの魔法使いが言ったとは到底信じられない。

 しかし、そんなことを言うなんてできなかった。

 頭の後ろに冷たい金属の感触を感じたからだ。

 斧戦士がわざわざガンナーにジョブチェンジして、銃口を向けていたのだ。


「ええっと」

「ブブー! 時間切れー舟長は死んだー」

「ちょっと待て、まだ死んでな――」


 ばきゅーん。

 容赦なく引き金を引いた斧戦士によって、舟長は予告通り死亡。

 斧戦士は、出来上がったほかほかの死体を見て満足そうに頷く。

 そして鼻を鳴らした魔法使いとともに、舟長を放置して去っていった。


「あれ、舟長の……死体が転がってる」

「なんでそこで考えたんだ?」

「いや、焼死体とか水死体とかあるけど、銃でやられた死体はなんていうのか考えてて」

「……強いていうなら銃痕のある死体とかじゃね?」


 やや呆れた声でアサシンと応じているのは剣士。

 斧戦士が舟長の死体をつくって30分経とうとしていた。

 当然の如く蘇生してもらえなかった舟長は、相変わらず廊下の真ん中に横たわっている。

 邪魔だ。


「どうする、これ?」

「本人は……」


 剣士がちらっと死体を振り返る。

 死体から舟長の魂が起き上がって、こっちを見ていた。


『助けろよ!』


 ついでに喋った。

 むろん、これらのことはスカイアドベンチャーでは常識である。


「ええーそんな生意気言う舟長には、リバイブかけてあげない!」

『えっ、おい、剣士!』

「オレもかけないぜ。某舟長風に言うとSPがもったいないからな」

『某舟長風って、完全にオレ――って、待て、どこ行くんだよ!』

「部屋?」


 無情にもそう言い放った剣士は、くすくす笑っているアサシンと廊下の奥に消えていく。

 舟長は、ひとり寂しく廊下の中央に残された。






魔「インベリアブル。人の状態をそのまま保管する魔法だよ」

ア「効果は一時間ぐらい続くみたいだね」

剣「村の診療所とかで、延命がはかどりそうな魔法だな」

斧「舟長はあまりにも可哀想だったので、おれがリバイブで蘇生してあげました」

舟「おまえ、回復量少なすぎ! もっかい死ぬかと思ったわ!」

斧「もう一度死体にしてほしいのかね?」

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