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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
本編(Mシリーズ+Aシリーズ)
15/527

M-013 ヒーリングバレット


ヒーリングバレット

飛び出す回復魔法




 始まってそうそうなんだが、スカイアドベンチャーは危機に陥っていた。

 その辺の街道を、買い物帰りに歩いていたときのこと。急に二人組のゴロツキがやってきて、舟長とアサシンをナイフで突いたのだ。

 音もなく崩れ落ちる二人。ナイフに付与されていた即死効果のせいだろう。既に息はなかった。


「よくも二人を!」


 なし崩しで戦闘になった。よく考えると、二人を蘇生してから戦闘にした方がいいのだが、頭に血が上っている魔法使いは気付かない。

 このときに気が付くべきだったのだ。アサシンと舟長をすばやく無力化したこの二人組が、ただのゴロツキではないと。

 そうとは知らず、魔法使いは猛然とゴロツキ二人に襲いかかった。


「ゴロツキ風情が即死攻撃を仕掛けてくるとはな」

「ぐへへ……」

「ぐへへ……」

「ぐへへ語だ!?」

「いや、余計なことは喋らないようにしてるのかもしれんぞ」

「考え過ぎじゃね?」


 ここまでは良かった。いつも通り、相手のペースを無視するSKの雰囲気作りを発動して、動揺をやり過ごす。

 しかし……。


「あれっ舟長たちがいねぇ!」

「まさか、戦闘不能のまま戦い始めたから、存在しないというのか?」

「嘘だろ、厳しいぞこの戦い!」


 死亡した舟長とアサシンの姿が見えず、焦る魔法使い。実は戦闘背景になっているところに二人とも倒れているのが確認できる。


「ええい、倒してしまえば!」

「そうするしかないようだな」

「よし、じゃあオレが回復や蘇生をしよう」


 剣士は即死無効化の耐性を持つので、こういう敵には滅法強いのだ。

 魔法使いは魔法で、斧戦士は斧でダメージを与えていく。ダメージ自体は普通に通るようで、三人とも安心する。

 ただのゴロツキが、物理無効や魔法反射を持っていたら困るのだけれど。


「えい!や!とー!」

「死ねーい」

「あの、お二人さん真面目にやってる?」

「もちろん!」

「ううん」

「おい。返答も真面目にやれよ」


 こうしてしばらくダメージを与えること10分。まだ敵は倒れない。魔法使いはSPが回復する杖を使っているので、消耗はさほどでもないが、斧戦士のSPがなくなりつつあった。

 ここでふと疑問に思う魔法使い。このゴロツキ、一向に倒れないな。やけに強いな、と。

 いつもは死んでも茶々を入れてくる舟長やアサシンの声が聞こえてこないのも、魔法使いの焦りに拍車をかけた。


「コイツ……HPどんだけあるんだ?」

「斧戦士、SP回復だ!」

「オーケー、防御する」

「いや、防御してもSP回復しないよ」

「意外や意外、瞑想でSPを回復しよう」

「馬鹿者、戦闘中に悟りを開くヤツがどこにいる!」

「ここにいます」

「マジで!?」


 と、仲良くしているところに敵が飛び込んでくる。斧戦士、剣士と魔法使いは分断されてしまった。


「斧戦士さん!」

「SPを枯渇させようって考えか!?」

「分からないけど、とにかく倒さなきゃ!」


 魔法使い側になった剣士も参加して、攻撃し出す。

 魔法使いも必死に攻撃して、変化が現れたのは唐突だった。斧戦士側のゴロツキが急に爆発したのだ。おそらく自爆攻撃だったのだろう、ゴロツキは消え、斧戦士は致命傷を負う。

 剣士は攻撃している最中だったので、魔法使いが回復魔法を唱えた。


「ヒーリングバレット!」


 ハート型の弾が斧戦士に向かって発射される。弾は直前で破裂して、輝く謎の粉へ姿を変える。

 なんとか間に合った。斧戦士が次の攻撃を与えられる前に。


「自爆するなんて……」

「気を付けないとまずいな」

「取りあえず全員回復だ!ヒーリングエリア!」

「サンキュ、剣士」


 気を付けつつダメージを与えていく。最後は知力三倍の無属性攻撃を相手に食らわせて、めでたく自爆させた。


「と、とにかく勝ったからセーフだ!」


 威張る魔法使いを前に、生温い視線を送る斧戦士。剣士は舟長たちを蘇生しに行っていた。

 爆散したゴロツキたちの死体は既になく、彼らが生きていただろう痕跡も既にない。異様に固かった理由も、最期に自爆した意味も分からないまま、謎の襲撃事件は終わりを告げたのだった。






魔「我らのヒールは距離関係ないから、普通に間に合ったというネタバレ」

斧「少しは余韻に浸らせてください」

魔「でも世の中のリアル追求系異世界では、役に立つかもしれない魔法。術者が近くにいなくてもちゃんと回復します」

ア「飛んでけ、ハート!」

剣「恋心的な意味ではない」

舟「恋心……ハート……うっ嫌な記憶が」

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