M-143 スクエアサイズ
スクエアサイズ
整っていると気持ちがいいね
魔法使いが紙を整えている音が聞こえる。
ちょっと高めのコン、コン、という音。
斧戦士はうたた寝をしながらその音を聞いていた。
すると、突然どん、と机か何かを殴ったような音が聞こえて、斧戦士は後ろを向く。
魔法使いが、魔紙を足元に散らして泣いていた。
「うわーん」
「拾うよ」
「ふぁい」
殴られた机の上に、紙を乗せていく。
高く積み過ぎると崩れてしまうから、慎重に、慎重に。
全部拾い終わったので、魔法使いの目も拭いてあげる。
赤い目をした魔法使いが鼻をすすった。
「どうやっても綺麗に整わないの」
「それで嫌になっちゃったのか」
「うん」
「少しずつやり直そう。おれも手伝うから」
「うん」
魔法使いのすぐ横に座った斧戦士は、魔法使いの肘を器用に避けながら紙をそろえていく。
ちなみに、魔紙とは魔法陣を描くための専用の紙である。
別にただの紙に書いたっていいし、ノートの切れ端を使っても問題ないのだが、魔法陣というのはとかく細やかに記述を行うもの。しわになりにくかったり、途中で破れたりしない紙は貴重なのだ。
「あとちょっとだな」
「がんばる」
魔法使いの涙はもう乾いていた。
魔「魔紙、安売りセールしてたからたくさん買ってきちゃった」
舟「それで大量の紙と格闘していた訳か」
ア「で、スクエアサイズはどこに?」
魔「ああ、もう手動でやるの面倒になったから、あのあと作って発動させたんだ」
斧「まだ、三袋あるのって言われたとき、おれは目を見張ったね」




