M-142 シークレットワード
シークレットワード
あぶりだし第二弾
「さて、ここに白紙のように見える紙が一枚ペらんとある訳だけど」
魔法使いが、舟長その他四人がいるリビングでそんなことを言った。
テーブルの上……は危ないので、椅子の上に立って紙を掲げている。
「それ、昨日の夜、杖でインビジブルワードした紙だろ?」
「まったくもう、舟長ったら空気読んで?」
「ちょっとネタ晴らしには早すぎるよ」
「ねーわ」
「舟長であぶり焼きしようぜ」
非難ごうごうの舟長。独り涙を呑む。
インビジブルワードで特定の文字を映した紙が力なく揺れている。
斧戦士が火の用意を始めたのを尻目に、魔法使いは再び立ち上がった。
椅子は危ないので、床の上に立って紙を掲げる。
「ちょ、ちょい待て! 魔法使い、斧戦士を止めろ!」
「わし、いま忙しいから」
「ねえねえ、早くあぶり出ししてみてよー」
「オレも楽しみだぜ」
「じゃあ行くね。シークレットワード!」
魔法使いが紙に向かって杖を振るうと、白紙がみるみる変わっていく。
「あ、なんか思ったより細かい」
「どれどれ……これ、誰が書いたんだよ?」
「わたしだけど?」
魔「斧戦士さんカッコいいよ!」
斧「イエーイ」
舟「縛られて危うく火にかけられるところだったぜ」
ア「舟長、お礼は?」
舟「あ、ありがとうございますアサシンさん」
剣「熱烈な恋文を覗き見した気分だったぜ」




