M-137 ファイアブレス
ファイアブレス
火吹き男
「ファイヤー!」
朝起きたら、魔法使いが口から炎を吐いていた。
舟長は、同時に起きてきたアサシンの頬をつまむ。
アサシンが、舟長の頬を強い力で握り返した。
アサシンの機嫌が急降下したことを知った舟長は、いまさらこれが夢でなかったことに驚愕する。
「熱い」
「あ、熱い? ごめん。ちょっと離れるね」
いちゃつくカップルを尻目に、舟長はアサシンから手を離した。
口から火を噴き出す羽目になった経過を聞こうと、舟長が一歩前に出る。
できなかった。舟長の顔が変形する勢いで、がっしりアサシンが頬を掴んでいたからである。
「つまむなら自分の頬じゃないと分かんないでしょ」
「あの、アサシンさん、ごめんなさい」
「……仕方ないなあ。もう、今度からは自分の頬をつまんでよね」
意外にも早く許された舟長は、その場に立ち尽くす。
遅れてやってきた剣士が、魔法使いに駆け寄り、炎で焼かれていた。
「痛くはねーけど……それ攻撃判定あるんだな」
「あるよ。だって攻撃魔法だもの」
「いや、でもこれここまで近付かないと当たらないだろ?」
「うーん。顔の長さ×1.5倍の距離しか出ないんだよ、この炎」
「へえ。厳密な決まりがあるんだな」
魔「だから、トカゲが吹くと炎は長くなるよ」
斧「なんちゃってドラゴン」
舟「鳥ならもっと顔の長さが広がるんじゃね? くちばし長いし」
ア「自ら焼き鳥になるの?」
剣「じゅるり」




