M-134 ナインボール
ナインボール
使える属性によって可変する
「ナインボール!」
魔法使いがその魔法を唱えると、九つの球体が現れて、彼女の周りをぐるぐる回り始めた。
球体はどれも、それぞれ色が違った。
どうやら、彼女の使えるすべての属性が一つ一つの球体に宿っているらしい。
「ファイアチャージ! ウォーターキャノン! アイスブレード! ストーンスピア! ゲイルストーム! スパークボルト! セイントエッジ! エピルペイン!」
魔法使いが叫ぶたびに、球体から光が放出して敵に飛んでいく。
彼女を囲んでいたバリアが薄くなっている。時間制限があるようだ。
相手がたまらず、エレメントフィールを発動した。
この魔法はほとんどの魔法属性の威力を軽減させる。
しかし、デメリットが一つあった。
対戦相手の魔術師の子は、彼女が自称している二つ名を知らなかったらしい。
色のない魔女。無属性魔法を得意としている彼女の異名だ。
「シリーズ! エナジーフォース!」
無属性に対する耐性を犠牲にして、他の属性の環境を増加させるエレメントフィールは、決して万能な魔法ではない。だが、無属性なんて、普通の魔術師は使わないものなのだ。
魔法使いの策に引っかかった魔術師は、エレメントフィールを使わせられて敗北した。
吸い込まれていくいくつものエナジーフォース。
二十秒は終わらない。
魔「多属性版シリーズ。三十秒間、無敵のバリアを張って、好きなだけ魔法攻撃ができるよ」
ア「それって一属性しか持たないボクが使うとどうなるの?」
魔「ちょっとした装飾つきのシリーズ? バリアがあるからちょっと違うかも」
舟「なんでバリアなんかついてるんだ? シリーズにはそんなものなかったよな」
魔「一秒につきSP10が削れてくから、最低300はSPがないと発動できないのよ、これは。あと発動させる魔法攻撃分のSPは別に請求されるから、実際にはもっと多くのSPが必要だね」
剣「へえ。手軽さではシリーズの方が使いやすいかもな」
舟「で、なんでバリアが張ってやがるんだ?」
魔「そりゃあ、魔術師が攻撃魔法の放出に専念したらいい的にしかならんだろ」
舟「もしかして、一秒につきSPが10減るって、バリアの維持費なのか?」
魔「言われてみればそんな気もする」
舟「制作者だろ! しっかりしろよ!」




