M-133 チェスボード
チェスボード
黒幕ごっこ
「クローディアって王子っぽい名前だよね」
「あー、分かる分かる」
魔法使いの突然の会話に応えたのは斧戦士。
ちょうど彼女の向かい側にいた彼は、魔法使いをしかと見ながらうんうん頷いた。
一方、首を傾げた者もいた。舟長だ。
没設定が王子だった舟長は、そんな二人に異を唱える。
「そうか? オレはそうは思わねーけど……」
「ええー没設定が王子の舟長なら分かるでしょ? 長い名前は王子っぽいって」
「なんだその雑な理由は。あと没設定が云々って言うな」
舟長がたしなめるが、当然魔法使いはその程度の制止では止まらない。
「アレクサンダーは絶対王族だよ」
「アレキサンドライトはどう?」
「それ宝石の名前でしょ、人名に付けたら……名前負けするんじゃないの?」
「クリストファーは……運命を感じるね」
「待って、魔法使いちゃん。某夢の国は運命とは違う綴りだから」
手元の資料を見ながら、長い名前を見つけては王子っぽいと言い出したのだ。
舟長は呆れて、席を離れる。
そんな舟長に、魔法使いは杖を突き付けた。
また攻撃魔法が飛んでくるのか、と身構える舟長に、魔法使いは天からの贈り物を以て応えた。
「これ、チェスの駒か?」
魔「チェスボードは、チェスに必要な道具が出てくる魔法だよ。これでいつでもチェスできるね」
斧「そんな魔法使いさんだが、チェスの経験は?」
魔「ないっ!」
舟「まあ、王子ぐらいの高尚な人物となれば、チェスぐらいやると思うが……」
ア「これ知ってる。黒塗りの人物が意味ありげに駒を動かすやつでしょ?」
剣「意味深な玉座に座ってることもあるし、王子なこともあるんじゃね?」




