M-126 ストーンスクエア
ストーンスクエア
重石
「斧戦士さん、斧戦士さん」
斧戦士が魔法使いの部屋に呼ばれたのは、ある曇った日のこと。
恋人の部屋に入るからと言って、斧戦士にそんなときめきはない。
今朝だってなかなか起きてこない魔法使いを起こすために、この部屋に入ったし。
慣れたもんである。
「この石……どうしよう?」
「魔法でできているのか。だったら、消えろって念じれば消えるんじゃないの?」
「……そうか。その手があったか。じゃあ斧戦士さん、ちょっと外に出てて」
魔法使いは自分に自信がない。
自分の声を聴かれるのが苦手なのだ。
人に見られていると緊張してしまうので、斧戦士を外に追い出した魔法使い。
消えろ! という声がドア越しに消える。
念じるのだから、わざわざ声に出さなくてもいいのに。
おれだって追い出す必要はなかった。斧戦士はそんな彼女の言動がほんとうに好きだ。
ドアの前でにやにやしている斧戦士を見たアサシンのコメントは……なかった。
引きすぎて言葉も出なかったらしい。
「消えたよ、斧戦士さん!」
「良かったね、魔法使いさん」
そんなことになっているとは、露とも知らない魔法使いは、笑顔でドアから顔を出した。
魔「ステアケーズ用の魔法です。1メートルの立方体の石を出現させるよ」
ア「ぎっしりだねえ。これ、相当重いでしょ?」
斧「ああ、だからおれを連れてきて、運ばせようとしていたわけね」
魔「一応、出現する位置は杖の延長上だから、人の上に出現させることもできるけど……」
舟「絶対ダメだろ! えぐいことになるって!」




