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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
本編(Mシリーズ+Aシリーズ)
12/527

M-010 バウンドブラスト


バウンドブラスト

風の力でジャンプ!




 ある日家に帰ったら、建物が一つ増えていた。日曜大工もDIYもびっくりな高速建築でできあがったのは、アスレチック。

 アクションが苦手な魔法使いのために、斧戦士が用意したというのだから尚驚く。アクション嫌いにアスレチック?

 魔法使いも最初は怪訝な顔をしていたが、すぐに納得した。

 時止め魔法のフリーズで、崖を渡ろうとしたときのことだ。僅かな隙間もジャンプで飛び越せない魔法使いは、氷の道を作ったのだが、これが大失敗。滑ってしまい、結局斧戦士の手を借りて崖側にたどり着いたのだ。

 この失敗を踏まえて作られたのが、このアスレチック施設で、今度は落ちても大丈夫なように下にクッションが敷いてあるという。


「今回は罠もトラップも付けてないし、安全面には気を付けて作ったから、安心して練習してね!」


 こんなことをいい笑顔で言われてしまったなら断れないではないか。  

 普段は罠やトラップ満載なものを作ってるのかと、内心ヒヤヒヤしたが、この斧戦士、魔法使いにはとびきり甘いのだ。木材のささくれでもあったら、即座にヤスリで整え出すほど。

 そんなに過保護でなくても大丈夫です。


「んー、じゃあ、これを使おう」


 魔法使いが新たな魔法を唱え出した。


「バウンドブラスト!」


 と思ったらその場で二段ジャンプ。これで危ない隙間も回避である。

 岩の階段を模したごつごつのブロックを登って、あの日と同じく微妙な隙間を前にたつ。長さは1メートル弱。ジャンプでは届かず、大股で歩いても遠い距離だ。


「バウンドブラスト!」


 再び魔法を唱え直して、大きくジャンプ! そのまま空中でもう一つジャンプ!

 魔法使いは思った。飛距離が足りん。

 高くそびえ立つブロックの側面に顔を突っ込み下りてくる魔法使いの姿を見て、仲間たちは首を傾げた。


「どういう仕組みなんだ?」

「ゆっくり下りてくるね」

「摩擦の心配したのか?」

「いや、助けに行けよ……」


 斧戦士は困惑しながら、壁を蹴って魔法使いの救出に向かう。魔法使いが窒息する前に側面から引き剥がして、呼吸を確保する。


「大丈夫?」

「大丈夫なように見える?」


 喧嘩腰なセリフが全てを物語っていた。それでも魔法使いさんは、自身が向上心高めだと信じているので、再び挑戦しようとする。


「もう一回だ!」

「構わないけど……」

「よっせよっせよっせ」

「…………」

「バウンドブラスト!」

「……うん」

「しまった、垂直に飛びすぎた!」

「助けに行くか」


 斜め上に飛び上がるのは難しい。


「もう一回じゃ!」

「ちょっとほうき取りいってくる」

「わっせわっせ」

「バウンドブラ」

「このほうきでブルームコメットした方が早くない?」


 かくしてバウンドブラストで空を跳ぶことに失敗した魔法使い。取りあえずほうきさえあれば、移動には困らないことが分かった。

 新しく覚えたバウンドブラストはどうしよう。せっかくだからみんなに使ってもらおうかな。

 みんな魔法使いは経験したことあるものね。






魔「運動能力が高ければ使える魔法なんですよ、たぶん」

剣「まあ、ジャンプ一回分増えるとしたら、楽しいことになりそうだが」

舟「オレたちは壁も蹴れるしな」

ア「そっか、やたら幅広のとこは渡らなきゃいいもんね。あと飛ぶか」

斧「突風には気を付けて」

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