M-106 ストレートライト
ストレートライト
動かない光源
「ライトフラッシュ!」
太陽が陰った午後、ちょっとした用事で出掛けた魔法使いは困っていた。
すっかり暗くなった道。
この辺りに街灯はほとんどない。
目の悪い魔法使いには、辛い道だったのだ。
「うーん、あんまり明るくはならないなあ」
ライトフラッシュは、使用者の周りを不規則に飛び回り、光源を散らす魔法。
温泉で使うと雰囲気アップなこの魔法は、現在あまり役立っていなかった。
しかし、魔法使いが使える灯りの魔法はこの一つだけ。
すぐ足元が見えなくて困っているのに、ライトフラッシュは使用者から離れていく。
「ライト!」
この世界ではメジャーな松明魔法を唱えてみるが、術式を知らないので、当然発動はしない。
困った魔法使いは、珍しく設置されていた街灯の下で足を止めて、ルーズリーフを取り出した。
いまここで、即興の魔法を作ろうというのだ。
街灯の周りには虫がたかっていて気持ち悪い。早く帰りたい魔法使いは、鉛筆を早く動かす。
「よし、これで。ストレートライト!」
三つの光源が魔法使いの上で輝きだした。
「しまった! わたしの影を考慮し忘れたぜ」
魔「あれからちょっと改良して、前は遠くまで見えるように、後ろはちょっとだけ光が漏れるようにしました」
舟「結構まぶしいな。後ろも光らせるのはなんでだ?」
魔「後ろからやってきた人に見やすいようにさ!」
舟「あー。うん」
魔「何だよー。素晴らしい気づかいだろ?」
舟「この世界の住民は灯りに慣れてないから、夜目が利くんだぜ」
魔「……あ、明るいに越したことはない!」




