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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
本編(Mシリーズ+Aシリーズ)
101/527

M-099 インターセプト


インターセプト

壁魔法




「舟長ー、ちょっとタオル持ってきてー」


 そんな魔法使いの声が響いたのは、良い子は寝る時間な夜のこと。

 舟長が暇そうにリビングに座り、魔法使いが風呂に入っているときだった。


「また、あいつバスタオル忘れたのか」


 舟長はリビングから出て、乾燥室として扱っている空き部屋に入る。

 そこには、下の方がしめっているバスタオルが鎮座していた。

 今日は雨だったのだ。


「まったく……、せめてオレじゃなくてアサシンを呼べよな。仮にも女だろうが」


 悪態をつきながらタオルをたたんで、舟長は風呂場に直行する。

 脱衣所の扉を開けると、服を着ていない魔法使いがいた。


「舟長、さむーい」

「……いろいろ言いたいことはあるが、とりあえず風呂に入ればいいんじゃないか?」

「それもそうだね。あ、タオルありがと」


 一人前の女性だということが抜け落ちているこの仲間から目をそらして、舟長は絶句した。

 魔法使いがびょんびょん跳ねながら風呂場に行く。

 その隙間から見えた鏡に、斧戦士の姿が見えたのだ。

 ぎこちなく振り返る舟長。


「舟長」

「あ、あのな、今回は予想外の事故でな、オレは悪くない、無関係だ」

「斧で八つ裂きになるのと、素手で引き裂かれるのとどっちがいい?」


 この人外みたいなステータスをした仲間は、魔法使いにかかる火の粉をすべて粉砕するのに余念がない。

 たとえ、魔法使いが被害にあったことに気付かなくてもだ。

 よってこの場合も、舟長の抵抗空しく、舟長は死体になった。

 だが、斧戦士もこれが事故だと知っていたので、即座にリバイブをかけてやる。


「回復量が少なくてすまんな」

「だったら斬らなければいいんじゃね?」


 通りがかった剣士がそう言いながら、舟長にヒールをかける。

 舟長は生き返った。


「おれの気が済まないから斬った。それだけだ」

「それ、全然カッコよくないから」

「おかしいな。魔法使いさんならほめてくれるんだが」


 斧戦士の動機は意外と子どもっぽい。


 さて、次の日の夜のことだ。

 今度はアサシンが風呂場から舟長を呼んだ。

 要件は魔法使いのと同じで、また舟長はぶつくさ文句を言いながらタオルを届けに行った。


「デジャヴにもほどがある」

「なにが? ねえ、舟長、ノックぐらいしてもいいんじゃないかな」


 待っていたのは、冷たい顔をした恋人の姿だった。

 アサシンはどこに隠していたのか、ダガーを取り出して舟長に迫る。


「タオルありがと。じゃあね」


 死神の飾りがついたネックレスがきらりと光る。舟長は即死した。






舟「アサシンに斬られたし、斧戦士に斬られたし、さんざんだ。誰かオレの目に見えないようブロックをかけてくれ!」

魔「呼ばれて飛び出るわたしです。呼んだかね、舟長」

舟「おまえはもういいです」

魔「今日はすっぽんぽんじゃないので。インターセプトは相手と自分の間に可視の壁を作る魔法だよ。近づきすぎると、槍のようなもので迎撃するシステム付き!」

舟「もしかして、オレの方が刺されるのか?」

魔「とーぜんだよ!」

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