2章:錬金術師の夢 その11 媚薬
若干R15抵触
そのミスリルのスプーン亭別館にイゾルデは夜中にも関わらずポーラから呼び出されていた。なんでも極上の素材が手に入ったのでぜひともイゾルデに吟味してもらいたいとのことだった。
「はぁ、ポーラもこんな夜中に呼び出さなくても明日の朝じゃダメなのかい?」
「いえいえ!今回の素材は冒険者の様でしたのでこの街で仕事をしてもらうことに何の支障もございません。時間を置くとどこから聞きつけてくるのか奴隷商のベネディクト様がかぎつけてくる恐れがあります。」
ポーラがそこまでする上玉というものにイゾルデも興味を持った。
「男女の冒険者でしたが、両方とも最高級の器量でございます。男は地下牢につないでありますが、女は特別部屋に鍵をかけ軟禁してあります。まだ薬が効いているので眠っていると思いますが、手枷と足枷はかけてありますので暴れる心配もないかと思います。」
「それじゃ、女の方から見させてもらおうかねぇ。」
イゾルデはポーラに伴われキャロットが軟禁されている部屋の前まで来て、隣の部屋に入った。隣の部屋はいわゆる覗き部屋である。隣の部屋との壁の一部が魔法のガラスでできており、向こうからは鏡になっているがこちらからは見えるように細工されていた。いわゆるマジックミラーである。
そこからイゾルデは隣の部屋を見てみると、まるでおとぎ話に出てくるような天蓋付きのベッドがあり、部屋の調度も一般の部屋とは違い高級な家具が置かれ、絵画まで壁には飾られていた。その天蓋付きベッドに全裸の女性が革の手枷足枷をはめられた状態で縛り付けられ眠っていた。
「これは…ほう、これはいい素材を見つけたね。ポーラ!よくやったわね。」
「ありがとうございます。私自身が身体検査いたしましたがこの娘、処女でございます。」
この器量よしでさらに処女とは、王侯貴族でも買い手がつくぞこれは。処女という言葉に娘のローザの事が頭をよぎったが、今は仕事を優先せねばならない。
「薬を持ってきて頂戴。生娘なら少し調教がいるわね。あたしがやるわ。」
ローザは少し残念な顔をしたが、もとよりイゾルデを呼んだ目的はそれである。いかに器量良しでも何の調教もされていない生娘なぞを上客に売るわけにはいかない。イゾルデは今まで何人もの娼婦を育ててきたその道のプロである。その手腕手管はローザにはまだまだ真似のできない高みであった。
何かを口に含まされる感覚でキャロットは目を覚ました。頭がボーとするがそれよりも見知らぬ女が自分に口移しで何かを飲ませているという事態にパニックを起こした。
思わずその女性を突飛ばそうとしたが腕が何かに拘束されており思うように動かすことができなかった。
「あら、目を覚ましたのね。あたしはイゾルデ。あなたの飼い主よ。」
飼い主?何を言っているのだろう。私の飼い主はアインフォード様しかいないでしょ?キャロットはそう思いイゾルデと名乗った女を睨みつけた。
「あなたなど知りません。いったいここはどこですか?」
「あらあら、元気がいいのね。でもすぐに薬が効いてくるから少しお話してあげるわね?あなたは私の商品になったの。だから、今までの事は忘れてこれからは殿方を喜ばせる技を身に着けるのよ?そうすればあなたは世界でも最高の幸せを手に入れることができるわ。」
何を言っているのだろうこの女は。キャロットにはイゾルデの言うことが半分も理解できなかった。
「アインフォード様はどちらですか?もしアインフォード様に危害を加えるようなことがあれば私はあなたを決して許しません。」
キャロットはこの女の言うことは聞くだけ無駄だと判断した。何を言っているのか理解できないし、きっと自分に不利益になることを言っていると確信できたからである。なにより、ここにアインフォードがいないことがイゾルデを信用してはいけないと言っているようなものだったのだ。
「あの男はアインフォードというのね。大丈夫よ、あなたが言うことをちゃんと聞いてくれれば、危害を加えることはないわ。」
イゾルデはまだ男の方は見ていなかったが、この女性がかなりそのアインフォードという男に依存していることが分かったので適当に合わせてみた。
それにしてもなんと美しい娘なのだろう。イゾルデはこれまで何人も美しい女性を見てきている。自身もかつては国一番とまで言われた娼婦であった。そんなイゾルデから見てもこの娘の美しさは群を抜いていた。
「ねぇ、あなたのお名前を教えてくれないかしら?」
「…キャロットと申します。」
挑戦的な目で睨みながらもなぜか敬語で名を名乗るキャロットに不思議な感じがしたが、イゾルデは満足だった。
さすがにキャロットは自分の態度でアインフォードに危害が加えられると思ったのか神妙にすることにした。アインフォードならおそらくどのような事態になっても切り抜けるであろうが自分のせいで不利な状況に置かれるのは避けようと思ったのである。
ドクンッとキャロットの鼓動が跳ね上がった。
「え?」
「あら?そろそろお薬が効いてきたかしら?」
キャロットは体が熱を持っていることに体調の不調を感じた。それより初めて今自分が全裸であることに気が付いた。
顔が上気する。体が熱い。目の前の女が自分の衣服を脱いでいるのがなぜかゆっくり見えた。この女は何をしているのだろう。キャロットは頭がはっきりしないながら何かとてつもなく良くない事態になっている気がしてならなかったが、これからどうなるのだろうという期待が膨らんで来るのも意識していた。
イゾルデは自分の衣服を脱ぐとキャロットの顔にその豊かな胸を押し付けた。キャロットは今まで嗅いだことのない香水の匂いに戸惑ったが、なぜか嫌な気がしなかった。
イゾルデは妖艶に微笑みながらキャロットの唇に自らの唇を重ね舌を絡めてきた。キャロットにとってはもちろん初体験であるだけでなく、そのような行為にどういう意味があるのかすら知らなかった。ただ、頭の奥がしびれたようにマヒしていく感覚だけが残っていた。イゾルデはゆっくりとキャロットの唇に長く深いキスを楽しんだ。一度唇を外しうなじに舌を這わし、再びキャロットの唇を貪った。イゾルデが唇を外した時二人の唾液が糸を引くように流れ落ちた。
「アインフォードさまぁ…」
キャロットの口からアインフォードの名が漏れた。目はうつろですでに吐息は熱くなっていた。
「そう、そんなにあの男がいいのね。」
イゾルデは右手をキャロットの下腹部に伸ばしゆっくり愛撫していく。すでにキャロットの息は絶え絶えであり、抗えるはずもなかった。
「あっ」
小さく悲鳴を上げたがイゾルデはその手を止めない。今度は左手が胸に向かって伸びてきた。そしてその先端をつまむ。
「ん、くっ…」
「我慢しなくてもいいのよ?声を出したっていいのよ?」
イゾルデはすでに仕事が半ば終わったと思っていた。ここまでくればこの生娘に肉の喜びをじっくり教えていけば勝手に落ちて行ってくれるだろう。
「あなた、かわいいわね…。ほんと嫉妬しちゃうくらい美しいわ…。」
「私が、う、美しいのは…と、当然、です。…ああっ!アインフォード様が、そのように作ってくださったので、す、から…。」
イゾルデにはキャロットが何を言っているのかよくわからなかった。
「そう。美しいという自覚を持っていることは素晴らしいわ。私があなたをもっと美しく、そして最高の女にしてあげる。」
イゾルデの言葉にキャロットはもう何もかも投げ出して溺れてしまいたいと思うようになっていた。
キャロットがそんなことになっているときアインフォードは地下牢を抜け出し、別館の1階から2階に上がっていた。インヴィジブルを使用しているのでマッパな変質者を見とがめるものはいなかった。




