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SF『自己鍛造弾頭』  作者: 壱りっとる
第一章『日常』
6/36

『ソフトランディング』

 通信終了。

 


強襲型偵察機体:RBYF-19E 大輪



『戦術機のことは良く分からないが、作戦後、情報が正しく伝わっていなかったことは、殆どなかった。強襲偵察なんぞという、情報第一の仕事からしてみれば、奴らも実にいい仕事をしていると思う。通信がちゃんと届く時だけは。だが』


 ふと、そんな感じの昔の誰かのインタビューを想い出した。


 今も不確実な通信環境の中前線を走り回る身としては、戦術機を深く信頼したいものだ。


 そして今も皆から回ってきた情報と、怪しげな地図を照らしあわせ不審な---気がする---所にバンバンと踏み込んでゆく。


「・・・の前に。全安全装置正常作動確認、電磁拘束1~11まで解除よし」


 お弁当~ 反物質電池 ~の準備である。


 中身が偏ってないか確かめ、零れないように包みを外して美味しく頂く。


 反物質位置の確認、電磁拘束の段階的解除、反物質核融合炉への投入。


 実際は戦闘機動や破片程度で反物質の電磁拘束が緩んだりはしないが、確認は大事である。


「超電導コンデンサー開放、反物質電池T-01に接続完了。供給準備OK」


 おっべんとおっべんとうっれしいなー♪ 

 スキップをする。

 ふわりとジャンプ。

 ・・・カチリ。


「ん?」


 どこかで何かがハマり込み寸毫。


 眩い光が機体を包む。


ドッーーー


 機体を揺るがす爆裂。


 しかしそれらの状況を電脳網が認識するよりも早く光学受動センサーが爆発様先進閃光---閃光判別による判定結果は至近での大規模爆発---を認識、超反応を起こす。 


 光学受動センサーによる脊髄反射は電脳中枢の反応よりも、爆圧の殺到よりも早く発生した瞬間の閃光の様子から脅威に即応。


 瞬時に短絡した神経系が電磁障壁のスイッチを直接キック。

レッドアラート。


 電磁障壁緊急展開。

 

 超電導コンデンサーリミット解除。


 電磁障壁最大展張。


閃光規模から脅威度は最大と算定され、電力消費リミットの解除及び最大強度での展開が強行。


 そこまで脊髄反射が進んだ時点で、ようやく電脳に情報が達する。


 だがもはや、電脳が全体の制御を取り、衝撃波に備える時間は残されて居ない。




【地雷


 種類は様々。


 センサーと本体がばら撒かれ、センサーで感知した箇所へレーザーや弾頭を飛ばすオールレンジタイプ。


 通常の地雷では使い難い場所で使用される、指向性を持った炸薬や弾頭をばら撒くテクニカルタイプ。


 地雷だかどうだか厳密には分からないが分類は地雷である敵を追尾する追跡タイプ。


 極論すれば、設置された後、自動で爆発するものは全部地雷である。】




「うぉおおおおおおおおおおおおおっ!?」


 踏みつけたのは地雷関係の中でも由緒正しいストロングタイプ。

破片と大爆圧で周囲を薙ぎ払う、最もスタンダードで最もストロングなもので、作りが簡単で量産に向き、単純な破壊力なので完全には防ぎにくい。



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戦闘教材:『地雷の全て09章 第6部』


地雷:BOX-5M3.0


『爆薬の量で敵を粉砕しよう!』


 破片を混ぜて被害を増やそう! とか、爆風を集中させて装甲を貫こう! だとか、そんな小手先の進化をものともせず、今も地雷界のトップシーンで燦然と輝き続ける、単純破壊力の塊が彼、BOX-5M3.0さんである。 


 被害範囲を限定し尚且つ高威力を求めるシーンに頼れるナイスガイ。


 ではそんな彼の直撃を食らって、それでもなんとか生き延びたい! と思う方が居た場合、対処法をお教えしよう。


 まず最重量級の重装機を用意。

 自機と同じデカさの対弾・対爆・対熱・対ビームシールドを、両手でガッシリ構えた後、脚部(多脚型かせめて四脚型以上)のアンカーを固い地面に打ち込んで、爆発までのカウントダウンを開始。


 あとは爆圧に合わせてピタリとバーニア全開で姿勢を堅持、そのまま機体をもぎ取られないよう全能力を傾ければ・・・全損は免れるかもしれない!


 ではここで、BOX-5M3.0で実際に吹き飛んだ方からの


「これほどとは思わなかったよ!」


という驚きの声と、その様子をご覧頂きたい。



--再現VTRスタート--



 VM-D259841での戦闘中。


 砲撃支援要請終了に伴い、シールドを構えたままジリジリと前進を開始する重装型火力支援機。


 その時、範囲内にあったBOX-5M3.0が爆発。

 大変な爆圧と熱の嵐に巻き込まれ手足5本を失い、一時はコアの破損も危ぶまれた。

 しかしなんとか構えていたシールドで爆発の熱と圧力を逸らすのに功を奏し、更に重装型であった事もあってなんとか一命を取り留めることができた。


(ボロクズの如き彼の映像)


--再現VTR終了--



--本人登場VTR開始--


 そして現在の彼のご様子は・・・

 そこには、6本の足で大地を元気に走り回る彼の姿があった!


重装型火力支援機:VLWS-6D


「榴弾に備えて盾を構えて前進してたんだよ! だけど地雷に巻き込まれてね。コア以外全部ふっ飛んだよ! これから機体が完全に治ったらまた戦場に戻ることになるけど、あんなスゴイ爆発に巻き込まれるのはもうこりごりだね!」


 存外、元気なご様子。


 では最後に。彼に何か一言頂こう。


「もう地雷になんか突っ込んだりしないよ! 絶対にだよ!」



--本人登場VTR終了--



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