『実機演習』
たのしいえんそく(おやつは15tまで)
社会の厳しさを知るための社会科見学も兼ねているかもしれない
『実機演習』
この演習には、1周期に2回。全戦機の4分の1にもなる10万機が集う。
参加機全てが実機という、グロウヴァイツで最大の演習こそが、味も素っ気もない名前の『実機演習』の本性である。
(普段から一部のみが実機の半シミュレーション演習や、小規模な実機演習はあるが、これほど大規模な物は他にない)
この『実機演習』という味も素っ気もない名前とは裏腹に、前衛・後衛・指揮・兵站、あらゆる兵種を問わず戦機達からは『グロウヴァイツの華』と評されている。巷間の戦機達はここがポイント査定を担う『戦場評定機会』への、絶好のアピールの場だと信じているからだ。
そして実際に、それは真実でもある。
『実機演習』へ参加する機体の武装は、
炸薬の量を調整した弱装弾
当たり判定を検出するための模擬レーザー
低出力ビーム
等となる。
『被弾時の破損やEMP、破壊による地形の変形などは、シミュレーションエンジンを併用することで処理され、シミュレーション演習とは違いリアルに実機で行う模擬戦闘であるにも関わらず、非常に安全性の高い訓練となっている。』
~楽しい実機演習 公式パンフレットより~
所詮弱装弾や模擬レーザーに被弾したところで、凹みが付く程度で、大破する心配はないと思われるだろうが、シミュレーションによって破壊判定が行われれば、損傷度に応じたシミュレーションロックが掛かり、破損部位は使用不能となる。
つまり腕に弱装弾が当たれば腕が、模擬レーザーを照射されればコーティングと装甲が、EMPを喰らい込めば回路が・・・使用不能になる。
そして何より、撃墜判定を貰えば墜落する。
実機を用いて激しい実戦機動を行っているのだ。
その最中にシミュレーションロックが掛かれば良くて小破。悪くすれば大破。下手を打てば落下激突から爆散などの事態も発生する。必ず発生する。
ひとたび『実機演習』が始まれば、エントリーされていない戦機の内、1割は演習の裏方作業バックアップへ、残りの2割は戦機の電脳を並列化してのシミュレーターエンジンへの計算力補助(注:1)として使用される。
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(注:1)
『戦機は中枢であるブラックボックスとは別の、巨大な電脳網集積を備えている。
この電脳網集積はAIでも【知性】でもなく、純粋に戦機の演算性能・思考領域の拡大専用であり、軍事プログラム『FCS(火器管制システム)や電脳戦用システム(ウィルス、ワクチン、ファイアウォール、クラッカー)、超高速なサブ・リザーブルーチンを可能にする電脳網思考領域帯』など、あらゆる軍事機密が、整然と詰め込まれている。
逆に、戦機とのリンクを外した人型機体の【電脳】には、この戦機の電脳網集積に含まれる軍事プログラムとは物理的に切り離され、電脳内揮発領域に残った『記憶』や電脳網成長で獲得された『経験』もプロテクトが掛かり、通常は使用することはできない。
この処置の理由は、人型機体とは純粋に経験を蓄積するための舞台装置であり、そこに戦闘技能は必要ないとの判断からである。』
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結局のところ。
『実機演習』の期間中は、全戦機の約半数以上が何らかの形で演習に拘束されることになり、期間中には大規模シミュレーション演習は行なわれない。
お陰様で『実機演習』の当番にあぶれ、手持ち無沙汰となった物の多くが各地の繁華街に列を成して繰り出し、前回の『実機演習』で稼いだポイントを、ここぞとばかりに消費するのだ。
そしてそれを目当てに行なわれる『大演習セール!!』の軒先を大いに賑やかすのであった。
どうせ自分たちが参加する番になれば死ぬような目に合わされるのだ。
休みの回ばかりははっちゃけても仕方がない。
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