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SF『自己鍛造弾頭』  作者: 壱りっとる
第一章『日常』
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『フィーバータイム』

 こちらの攻撃の着弾までに、敵の対空攻撃がクライマックスを迎えている。

 着弾の混乱と同時に、全機全力降下に入る予定ではあるが、敵の対応が半端なく早い。


「(もしかして、察知までされてたんじゃないかなこれぇ・・・?)」


 まあ、幾ら祈りを捧げても、情報戦にはハヴォック神もノータッチであったであろう。


 光学観測用の広角レンズからは、口径のでかいレーザーで仲間が焦げて火を噴いて、上半身と下半身が泣き別れて、そこに対空榴散弾が張り付いて爆裂して粉砕したりしている光景が見える。


 地獄である。


 生き残るために。まずは、砲火の煽りを受けた破片が動いたふりをして、僚機と一網打尽にされない位置へと遷移する。


 これで敵の火器管制が、少しでも攻撃の優先度を下げてくれればいのだが、火砲の量と火線制御機の嗜好によっては、何の効果も期待はできない。


 しかし『塵が積もれば星になる』という宇宙創世から伝わる聖句もある。蓄積こそが重要なのだ。


 「行動時間」までは他に大してやることがない。やられることは多々あるのだが、暇である。

 有り余るシステム余剰から、戦時使用禁止条項を掻い潜った戦場の友である、アプリケーション『HAIKUメーカー』を起動。


『閃空の 無為に散りゆく 空の華』


 うん。なんだか分からんが今日は良いのが捻り出された気がする。 


 そして、フィーバータイムが訪れる。


「I-24k アクティブセンサー全開 超電導コンデンサー正常 ・・・」


融合炉OK


ラインOK


反物質電池OK


電磁障壁発生器OK


・・・・・・


 チェックリストを再確認するも当然問題はなし。

 以前読んだもう何期前のものだか分からない教本に、


「チェックは自分の目でも行え」


 とあったので、目ではないが、まあ自分で確認できるものは確認している。

 ここ数百年「試験版でもないチェック機構がエラーを吐いた」なんて話は聞いたこともないが、随分前の先輩に教えられた事を忠実に行っているだけである。


『古い教本も遡って見ておけ。今では無くなったり省略された手順なども、本来どういった意図であったか、正しく認識できるようになるだろう。万が一、億が一の時には、それらの理解度の深さが自らを助けることに繋がる』


 とのことだが、そうおっしゃった先輩自身は通り一遍にしかチェックをしない人であった。

 たぶん先輩は、更にその前の先輩、更に更にその前の大先輩から受け継がれた教えを、通り一遍に伝えてくれただけなのであろう。



 機動戦開始。

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