表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

窓際の席の女の子

作者: 青式スミス

 教室の窓からは墓地が見えます。ここまで近いとお化けが教室までやってきそうで、少し不安になります。

 今日の天気は弱い雨です。風が強くて、窓際に座る私の髪は揺れています。

 私は窓から、斜め前の誰も座っていない席に目を移しました。教室には数学の先生の声が響いていますが、私の頭には入ってきていません。

 あの誰もいない席の持ち主は佐藤くんです。佐藤くんは先週から学校に来ていないのです。

 理由は知っています。クラスメイトの男子たちが、彼をいじめていたのです。

少なくともクラスメイト全員が、彼がいじめられていたことを知っていました。しかし、誰も彼を庇おうとしなかったので、クラスの全員が彼をいじめていたと言っても過言ではありません。もちろん、私もそうです。

 私は彼にお詫びのために会いに行くことにしました。彼の家は知ってます。なぜなら、通学の時いつも家から出てくる彼を見かけていたからです。

 私はフルーツを買いました。彼の好みは分からないので、取り敢えず、私が好きなメロンとイチゴとマンゴーにしました。学校から帰ったら、それらを届けに行くつもりです。


 帰りのホームルームが終わりました。私は急いで教室を出ます。私の家は学校から走って十分くらいの所にあります。しかし、今日は七分で帰ることが出来ました。

 朝用意しておいたフルーツの入っているバケットを持って、走って家を出ます。

 私の家から佐藤くんの家までは、走って三分くらいです。

 私は息を切らしながら、佐藤くんの家のチャイムを鳴らしました。佐藤くんのお母様が玄関までいらっしゃいました。そしてお母様は今にも消えてしまいそうな声で、私にこう言いました。

「智明は、先週死んでしまったの。今まで伝えてなくてごめんね」

 私はショックのあまり、手に持っていたバケットを落としてしまいました。

 佐藤くんのお母様の話によると、佐藤くんは先週自ら命を絶ってしまったそうです。そして、彼は今、私が今日眺めていた墓地にいるそうです。

 私はお母様にバケットを手渡し、行きの十分の一くらいの速度で帰り道を歩きました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ