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さなみちゃんとそれどころじゃない状況

これまでに判明している人物


〇吉岡ララ

不登校気味な女子高生

16歳

幼なじみでお隣さんのあんにゃに性的な意味で狙われ始める


〇リザーラ

登校途中のララに植え込みから救出(根こそぎぶち抜かれる)されその後保護(拉致)された植物のような生き物


〇あんにゃ・スウィフト

16歳

そっちの気はないがララにのみその熱い情熱を注ぐ

ララを真っ当な道に戻そうとするが色気仕掛けで阻止され瀕死に陥る

最近忙しい

ねこが屋根に上るなんてことは、ありそうで実は滅多にないことである


レアな状況に何処からともなく聞こえてきた耳慣れない声


ちょっと前までこの部屋に小人がいたことを考えると猫が喋っても不思議じゃないような気もする。


しかし、あんにゃはその考えを否定した


理由は


「今日はもう…疲れたから…」


だった


あんにゃがロックオンした猫から視線を外そうとした瞬間その猫は思いもよらない行動に出た。


まず肉きゅうを窓ガラスにべったりと張り付け…


テレッテッテッテー


これからという時に突如ララの携帯の着信音がなった

その音色は赤髪の黄色いピエロを思い浮かべるようなメロディーだった


「ララは今、電話なんかに出られる状態ではない。」


あんにゃはそう思ってそんな事より猫の動向に目が釘付けだったが、


「もしもし…沙那美(さなみ)ちゃん?

えっ、家の前まで来てるの?」


あっさり電話に出たこと、しかもこれから家に誰か入って来そうな気配がしたため、猫とのバトルは一旦休止となった。


「おじゃまします」


ララに連れられ、あっさり入って来たのはララの友達らしい

眼鏡をかけておとなしそうな感じの子だった



あんにゃの計らいでとりあえずリザーラは部屋の外へ移動させた

だが沙那美ちゃんはそんなことより気になることがあった


しかし、おとなしい控えめな性格が邪魔をして本来聞かずにはいられないことを聞けずにいた


だって明らかに異様な光景なのに二人ともそのことに一切触れようとしない


横目で見ようとしているのを必死で堪えている


窓の外からじっとこちらを凝視する猫

ではなく…

このタイミングで絵の中から出てこようとしているKYなヤツ


「まさかの足から…!?」


そいつは自分の意思で突っ込んだのかは分からないが、とにかく足をバタつかせ徐々にこちらに出てきている


もう3人共気付いている

だって、カサカサ音を立てているから


この絵を描いた当の本人はどうして良いのかわからないご様子

"そのこと自体"把握出来ているのかも分からないが、とりあえずこの状況は予想外の事態だったようだ


3人はどうして良いか答えを見付けられないまま暫く動けないでいたが、事態は割とあっさり終息へ向かった


もうそろそろ顔まで出てこようとしているそいつの胴体を掴み沙那美ちゃんはグリグリと押し戻した


ララとあんにゃは思った

「スゲー…」


答えは単純明快

素性の分からない者の侵入は安易に許してはならないのです。


あんにゃは汗だくになって闘った勇者を称え

とりあえず手を洗ってくることを奨めた


洗面所へと向かった沙那美ちゃんが去り際に残していった言葉は

「何か、フサフサしてた…」

だった


沙那美ちゃんが傷を癒している間にあんにゃは事の発端となった人物を問い詰める


あの絵は何なのか

何故あそこから生き物が出てくるのか

その先は何処に繋がっているのか


とりあえず3つほど聞いてみたが答えられたのは1つだけだった


この絵はトロンプイユ

俗に言うトリックアートで、それ以外の何物でもないという。


あんにゃは知っていた

ララは幼い頃から絵を描くのが好きだった

最初の頃は他の子達が描く絵と変わらなかった


ある日父親にトロンプイユの展覧会に連れて行ってもらってからはその魅力にとりつかれ、それからはトロンプイユばかり描くようになった


トロンプイユは奥行きや空間をリアルに表現し、あたかもそこに実在しない物をそこにあるかのように見せる手法や技法で騙し絵とも呼ばれる


つまりただの絵だ

ただの絵から生き物が出てくるなんて…


「リアルに描き過ぎてしまったのでしょうね」


また声がした

先程聞こえたのと同じ声

その声の正体は今回はハッキリとしていた


いつの間にか部屋の中に入ってきていた猫


こいつ以外にいない



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