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愛しの君へ。

作者: 刹那零

ノリと勢いで書きました。

大切な、大切な柚那ゆな




 今まで、本当にありがとう。

 それに、ごめんね。


 私達は、ずっと一緒だったね。

 私達は双子だから、一緒にいるのが当たり前、って皆は思ってたみたいだけど、私は違うって知ってたよ。


 何時も、柚那が、私の隣にいてくれた。


 柚那は優しいから、自分が私の隣にいたいんだ、って言ってくれたね。

 双子だからなのかな、それが本心からの言葉だってわかったけど、でもそれだけじゃないのもわかってたんだ。

 友達と遊んだりとか、やりたいこと、沢山あったでしょ?


 させてあげられなくて、ごめんね。

 我が儘な私で、ごめんね。


 でもね、ずっと隣にいてくれて、本当に嬉しかった。

 隣にいたい、って言ってくれて、本当に嬉しかった。


 柚那は優しいだけじゃなくって、私に甘いから、いたずらしても、仕方ない、って許してくれたね。

 些細なことで喧嘩して、絶対に私が悪いのに、謝るのは何時も、柚那だったね。


 そんな柚那に甘えて、すがって、沢山傷付けたよね。

 本当に、ごめんね。


 それでね、柚那に一つ、言わなくちゃいけないことがあるんだ。


 私ね、好きな人がいるの。

 私って体が弱いから、すぐに入院してたでしょ?

 その事は、隣にいた柚那が、一番わかってると思う。


 実は、弱いのは体だけじゃないんだ。

 心もね、弱いみたいなの。


 何度も入院してると、心がとっても弱くなっちゃうの。

 そうするとね、体ももっと弱くなって、手術ができなくなっちゃうんだ。

 一時期なかなか退院できなかったことがあったでしょ?

 それは、このせいなの。


 でもね。

 その人は、そんな私を怒って、励ましてくれたの。

 今まで、怒られたことなんかなかったから、びっくりしちゃった。

 びっくりして、それで、でも嬉しかった。

 私のこと、真剣に考えてくれてるんだ、ってわかったから。


 勿論、柚那が私のこと真剣じゃない、って言ってるんじゃないよ。

 柚那は何時も私を優先してくれたし、私はとっても嬉しかった。


 そういうことじゃなくって。

 だってね、考えてみて?

 彼にとって、私は赤の他人なんだよ?

 他人のことに、真剣になってくれるんだよ?


 嬉しくないはず、ないじゃない。


 柚那は忙しいみたいだったけど、彼が私を支えてくれたの。

 彼のおかげでね、私の心も強くなって、体も強くなったんだよ。


 だから、成功率がとっても低い手術を受けることになったの。


 でもね、失敗するかもしれない、って思ったら、やっぱり怖くて。

 彼は大丈夫だ、って言ってくれたけど、不安で。


 怖くなったから、せめて心残りはなくしておこう、と思ってね、彼に、好きだよ、って言ったの。

 そうしたらね。

 彼も、私のことを好きだ、って言ってくれて。


 彼が、一緒にいたい、って言ってくれたから、手術を頑張ろう、って思ったの。

 彼が決心のきっかけになったなんて、柚那は怒るかもしれないけど。


 手術を受けること、柚那には相談してなくて、ごめんね。

 柚那は忙しいのに、私が手術する、なんて言ったら、無理やり時間を空けてきちゃうと思ったの。

 そんなことしたら他の人にも迷惑かかっちゃうし、私もそんなことにはなってほしくなかったから。



 柚那は忙しいから、間に合わなかったときの為に、この手紙を書きました。

 これが、私からの、最後の手紙になります。


 今まで本当にありがとう。

 これでやっと、柚那を解放してあげられる。

 もう私のことは気にせず、好きに生きてね。




   柚那の片割れ、夢燈むとう 瑠那るなより


 追伸

 ○○日××時から△△時まで、許可が出ているので□□教会にいます。

 勝手悪いけど、やっぱり会いたいから………待ってます。





 ――――――――――――――――――――




 ―――バンッ―――



「瑠那―――っ!?」

「柚那! 良かった。間に合ったね」

「え、え? 待って、何が起こってんの?」

「何がって、見たまんまだよ?」

「いやいやいや、それじゃ言葉が足りてない、っていうか! 突っ込みどころが多すぎて、何から突っ込めば良いのかわかんねぇ!!」

「なら、順番に言ってみたら?」

「まず! 手術したって!?」

「あ、そこから? うん、したよ、3ヶ月前に」

「俺に言えよ! っていうか3ヶ月前って!!」

「だって、報告したら、柚那ってば絶対に時間作ったでしょ? もうあっちに半在住状態なのに、帰ってきたでしょ? どれだけの人に迷惑かかると思ってるの?」

「いや、それは………」

「それに、もう柚那が隣にいてくれなくても、私は大丈夫だよ」

「そう、それもだ! 相手誰だ!?」

「俺だ」

「おまっ、主治医じゃねえか! 何俺の妹に「何って?」あ、いや、姉、です………」

「うんうん、そこんとこ間違えてもらっちゃ困るよねぇ」

「あの、本当すみません………」

「まあまあ、瑠那。その辺にしといてやれ」

「お前に庇われる筋合いはない!」

「ちょっとー、私が選んだ人に文句でもあるわけ?」

「いや、別に………何ていうか、せ、世間体的な………?」

「うっわ、すっごいてきとー。んー、でも別に問題ないでしょ。別に歳もそんなに離れてるわけじゃないし」

「主治医! お前、歳「俺は28だ」被せんな!!」

「あーもー、柚那うるさい。いちいち叫ばないでよ。ここを何処だと思ってるの? そんなんだから、彼女できないのよ」

「ぐ………」

「………まあ、私のせいでもあるんだけど。………えーと、何の話だっけ?」

「年齢の話だ、瑠那達の」

「ああ、それそれ。貴方が28で、私が、って柚那も同じだけど、24なんだから、問題ないでしょ」

「俺はそう思う」

「主治医、お前………意外に若かったんだな………」

「………」

「柚那、それは思ってても言うことじゃないと思うよ」

「………………」

「え!? わ、悪い! 悪気はなかったんだ!!」

「いや、問題ない。そもそも若くに見えると、同業者にも患者にもなめられる」

「そうなの? あー、でも気持ちはわかるかも。若いと、不安なんだよね」

「だよなー。新人かも、って思っちゃうからなー」

「そういう気持ちは理解できる」

「や、別に主治医がそうだって言ってんじゃないからな!?」

「っていうか、柚那? いい加減、主治医じゃなくて、名前で呼べ。まさか、知らないなんて言わないよねぇ………?」

「う………神季かみき しゅう、だろ………?」

「あ、フルネーム知ってたんだ?」

「まあ、一応………。って、そんなことより! これが最後の手紙、ってどういうことだ!?」

「そのままの意味だよ? だって今日から、神季瑠那になるんだから」

「いや、意味わかんねぇんだけど………?」

「だから、夢燈瑠那として、最後の手紙だってこと。今日から夢燈じゃなくて神季になるからね」

「はあ!? 何だよそれ!?」

「何って言われてもねぇ」

「………それじゃあこの、許可が出てるってのは………?」

「教会の許可だけど? ここ、普段は立ち入り禁止だから」

「………もう、何だよ、これ………」

「それで?」

「………んー?」

「それで、何か言うことは?」

「くっそ………色々釈然としないけどな………。………神季 柊! 瑠那を頼んだ!!」

「ああ」

「瑠那! ………幸せにしてもらえ!!」

「うん」

「………二人とも、俺のこと待ってたんだろ?」

「まあ、ね。手紙読んだら、絶対に来るってわかってたし」

「それは、まあ、色々言いたいことがあるが………。とにかく、待っていてくれたこと、感謝する。ありがとう」

「頭あげてよ。私が来てほしかったんだから、待つのは当たり前だよ」

「………なら、俺から言うことは一つだけだ。………おめでとう、二人とも」

「ありがとう、柚那」



 そう言って、ウェディングドレスの女性―――瑠那は、美しく笑った………。




不憫な人が書きたかった、ただそれだけです。


手紙部分は、遺書みたいなのを目指しました。

瑠那は確信犯です。

(現実でやったら、洒落にならないですが)


後半が会話のみなのは、テンポよく会話してほしかったからです。


手術とか、瑠那の体が弱いのは、結構ガチです。

まあ、3ヶ月前に、めでたく完治しましたが。



………本当はタグも全部、あらすじみたいに内容わからない様にしたかったんですけど(タグって、わりとネタバレですよね)。

それすると、本当に読んでみるまでどんな話かわからないので、やめました。



ちなみに、後日、手紙を読んだ柊(彼は手紙の内容を知りませんでした)は、大爆笑したとのことです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 笑撃のオチwwww バッドエンドか……?と身構えていたところでのリア充報告……! お兄ちゃんもこれはびっくりですね。
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