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ピヨネラ  作者: 猫姫 花
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青い猫さん


 ピヨネラは物置部屋に行くと、魔法の鏡に対面。


「ベクト・バスク」


 ピヨネラがそう唱えると、鏡が輝いて辺りは光に包まれました。


 光が落ち着くとピヨネラの服が変わって、今回は半袖のシャツに七分丈のジーンズ。


 シャツはすそがV型になっていて、二重にレース風のフリルがあしらわれています。


 七分丈のズボンは、動きやすいように切込が少し入っているようです。


 足元は歩きやすさも重視した軽量の白い厚底サンダル。


「ありがとう!」


 鏡の中から、「いいんだよ」と声がすると、ピヨネラは元気にうなずきました。



 今日はマシューと遊ぶ約束をした日。


 野いちごを一緒に収穫する予定です。


 いつものバスケットに軽食を入れて、家を出るピヨネラ。


 待ち合わせの場所に行くとマシューがいて、手を振ってくれました。


「おまたせ~」


「ごきげんよう、ピヨネラ。バスケット、なにが入っているの?」


「軽食」


「いいわね。私の分もある?」


「もちろん」


「あー、何か持ってこれば良かった~」


「いいよ、いいよ」


「うんうん。今度は多分、持ってくるよ。野いちご狩りに行こうっ」     

 

「うんうん」



 場所を移して野いちごのたくさん成っている場所へ。


 するとそこには、オオカミ君がいました。


「あれ?マシューとピヨネラちゃん?」


「えっ」


「あれ~?オオカミ君、いちご狩り~?」


「そう。薬酒作りの手伝いだよ」


「え、薬酒にベリー?」


「そう。試作するんだって」


「ほー。どれぐらい採れたの?」


「ん」


 側に置いてある袋を示されて、袋がだいぶ膨らんでいるのがすぐに分かりました。


「すごいな~。ひとりで?」


「まぁ、ね」


「頑張ってる~」


「うんうん」


「マシュー達もいちご狩りに来たんだ~」


「もしよかったら一緒に軽食をしませんか?」


「ほぅ。いいの?」


「うんっ」



 さっそくシートを敷いて、そこに座り、バスケットからクッキーとサンドイッチ。


 それとチェリー酒が出されました。



「このクッキーは甘いの?」


「そう言えば甘いのがダメなんだよね?」


「ううん。あの時は甘いものを食べたくなかっただけだ。あの甘くないクッキー美味しかった」


「うんうん。じゃあ今度、作って来るからまたお食事でも」


「ほう。よろしかろう」


「うんうん。食べて、食べて」


「ほうほう」


 マシューがオオカミ君を見て、ほうほう、とわざとらしく返したのでオオカミ君はそれに気づいて少し笑ってしまいました。



 そこに、服を着た青い猫が茂みから飛び込んで来ました。


 思わず驚いて声をあげるピヨネラ。


 茂みの向こうから、「リボンヌー」と声がします。


「青い猫?」


「ブルリア族だね。まだ子猫だ」


「ほー。久しぶりにブルリア見たわ」とマシューがぼやきます。


 ピヨネラは「ブルリア?」と反芻。


 子猫はうなずいてそれを認めると、無邪気にピヨネラにすり寄ります。


「えっ。どういう意味?」


 オオカミ君は微笑して、それを嬉しそうにしました。


「ブルリアの子猫は、心が綺麗なひとになつきやすいんだよ」


「そうなんだぁ」


 にゃーと、子猫が嬉しそうに目を細めながらすりすりとほほずり。


 蝶ネクタイシャツにズボン姿で、甘い清潔な匂いがします。


 茂みの陰から黄色いサロペットスカートを着た、二足歩行の青い猫が現れました。


「リボンヌ、迷惑でしょうに」


 ビックリしているピヨネラに、マシューが言います。


「ブルリアって言ってね、喋れる猫がいるんだよ。大人になると二足歩行ができるの」


「そ、そうなんだ・・・知らなかった」


「いい、いい。慣れてるから」


「あ。全然、迷惑じゃないですよ」


「あら。可愛い気遣いね。わたし、メロリータって言う名前よ。リボンヌの母です」


「わたしはマシュー。こちらはピヨネラ、その隣がオオカミ君」


「美味しそうな匂い」


「あ。良かったらどうぞ」


「いいの?」


「そう言えば、ここらで何をしてるんです?」


「道に迷っていたのよ。昔とは少し違うのね~。今、里に帰る所」


「あ。マシューが道案内してあげるよ」


「姫」


 別の茂みから、コーカが現れて、マシューが「げ」と言います。


「え、もう時間なの?」とピヨネラ。


「いえ、大丈夫。メロリータさん、お送りしますよ」


「ありがとう。このサンドイッチ、素敵な味ね」


「良かった~」とピヨネラ。



 一緒にいちご狩りをして、マシューとコーカはメロリータさんとリボンヌの道案内。


 ピヨネラはオオカミ君に家まで送って貰うことになりました。


 元気よく別れたものの、緊張してきたピヨネラ。


 なんたって、意中の相手との帰り道でふたりきりです。



「疲れたの?」


「今、お腹が鳴ったらどうしよう、とか思ってたの」


「なるほど。気にしないよ」


「そうなんだ・・・」


「今度、甘くないクッキー焼いてくれるの?」


「あ、それでいいよ。いつがいいですか?」


「敬語はいいよ」


「うん。いつがいい?」


「そうだなぁ。三日後なら空いてるかなぁ」


「それじゃあ、三日後の・・・いつ?」


「お昼ご飯をすませたら、でいいよ」


「うんうん。分かった」


「まさか、自分で作ってるの?」


「そうだよ。クッキーは自分で焼けるの」


「作れる、って意味?」


「そう」


「粉から?混ぜたりするの?」


「そうだよ」


「ほー。すごいな」


「ええっ?そうなんだ?クッキーくらいしかまだできない」


「俺にはムズカシイことだよ」


「私が焼くから、食べたらいいよ」


「ほう。嬉しいな」


「うんうん」


「あ。あの家?」


「うん!ここらへんでいいよ」


 ピヨネラが笑顔で振り向くと、オオカミ君はピヨネラの頭を撫でました。


「君がそれでいいなら、またねの挨拶をしたいよ」


「うん!またね!」


 しゃがむように腰をかがめたオオカミ君は、ピヨネラのほほにキスをしました。


「またね」


 ひゃー、と言いながらピヨネラは家に走って帰り、玄関の扉をすぐに閉めてしまいました。


「はぁ・・・挨拶に?知らなかった・・・また顔がきっとりんごになってる」


 顔が真っ赤になることを、ここでは「りんご」と言います。


 ピヨネラはすっかり元気になったママに「お帰り~」と言われて、安心したようでした。


「あら、顔が赤いわ」


「きっと、チェリー酒を飲んだからよ」


 

 今日は青い猫を見た話をして、夕食をしたピヨネラ。


 眠る前にママに相談してみました。


「早く大人になる方法はないのかなぁ?」


「魔法でも使わないと無理でしょうね」


「魔法かぁ・・・」


「ほら、もう、お休み」


「お休みなさい、ママ」


 ママからおでこにキスをもらって、毛布をかけ直してもらうピヨネラ。


 窓の外は星が光っています。


「早く、おとなになりたい・・・」


 ピヨネラはいつの間にか眠りについて、寝息を立てていましたとさ。



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