約束
ピヨネラが魔法の森に遊びに行くと、そこにはマシューがいました。
遠くの方から声をかけて、手をふるピヨネラ。
その時、つむじ風が吹いてマシューの帽子が飛んで行きました。
どうやらマシューは帽子に髪の毛を詰めていたらしく、豊かな髪の毛が出現。
帽子を拾うマシューに駈けて来るピヨネラは、マシューの髪型にびっくり。
マシューは、びんそぎ。姫カットの髪型なのです。
「帽子大丈夫?」
「うんうん」
「マシューって、髪型可愛い!」
「姫カットって言うのよ」
「私は天然癖毛だしなぁ・・・姫カットは似合わないかも」
「うふふ、そうね。でも今日もあなた可愛いわ」
「ありがとう。嬉しいな」
「うんうん」
何をして遊ぼうか、と言う話になり、ピヨネラが魔法の森に行きたいと言います。
マシューも「少しだけだよ」と言い、ふたりは魔法の森へ。
「スィーティーって言う魔法の森のキノコを食べてみたいの」
「ほう、あれは栽培できないんだよなぁ。自然にはえてるの」
「甘いんでしょう?」
「まぁ、スィーティーって名前だし。ブドウ糖が入ってるの」
「なまで食べれる?」
「食べれるよ。むしろ生がいい」
「どんな色なの?」
「カラフルだよ」
「色によって味とか違うの?」
「そう、違うよ」
「楽しみ~」
そう言えば、今日のファッションも素敵ね、とマシュー。
ピヨネラは髪を高くお団子に結っていて、花のピン止めを飾っています。
首元にリボンのついたワンピースドレスに、同色の靴。
マシューは麦わら帽子をかぶっています。
ふたりが楽しくお話をしていると、目の前に立ちはだかる何者かの気配。
「姫っ!」
そこにいたのは、将棋の形に似ているココア色の肌に緑色の髪の毛の精霊。
マシューは「あ」と言って、ピヨネラの影に隠れようとします。
ピヨネラはその目の前にいる者に言いました。
「なにっ、マシューに何か変なことをするつもり?」
すると「わたしは姫の下僕です」と返事が返って来ました。
マシューが「ごめんごめん、そっち、『コーカ』って言うの」
横の茂みにある岩場から、ひょっこりと顔を出したのは白肌に金髪の精霊。
「あ。いたのね。んーふっ」
「そっちはコーカの親友の『フェネル』」
マシューから紹介されて、ピヨネラは「危ないひと?」と聞く。
「違うよ」
「姫」
「余計なことを言うな!」
「「え?」」
ピヨネラは「姫?」と言って、マシューに振り向きます。
マシューは「はい。マシューは姫なんだよ・・・」とぼやきます。
「マシューがそれでいいなら、まだお友達をしていたいよ」
「本当?」
「本当」
「じゃあ、なんでもない。コーカ、フェネル、一緒にスィーティー探そうよ」
「うふふ、それならこっちですよーん」
フェネルが誘導し、それに着いて行くピヨネラたち。
コーカの後ろ姿を見て意外だったのは、小さな羽根がついています。
ちなみにフェネルの金髪は、七三分けの髪型で七部の毛先が上に向かって巻いています。
フェネルの案内で小川に板を渡し、魚影を楽しみながら進むピヨネラ。
丘の上の大きな木の前に到着すると、木肌にカラフルなグミみたいなもの。
「まさか、これが?」
「そう。スィーティーですよん」
「摘んで食べてみたい」
「うんうん。全部はダメですよ~」
「なるほど」
ピヨネラはスィーティーの黄色を摘んで食べてみました。
「あ。これ美味しい!」
マシューが「グミに似てるって人間が言っていたわ」と言う。
「私はグミは知らない」
「なるほど」
「今度、ママに相談してみよっと」
「うんうん」
「スィーティー食べながら休憩しようよ」
「それでいいよ」
「うん!」
色も味もカラフルなスィーティーを食べながら、丘で休憩。
しばらく雑談をしていると、無口なコーカが言いました。
「姫、そろそろお帰りになりませんと」
「ええ~、イヤだよ~」
「今日は大切な会議の日です」
「・・・分かったよ。ピヨネラ、ごめん。用事がある」
「うん。ここでお別れ?」
「ううん。入り口まで送るよ」
「ありがとう!もしよかったら、今度も遊ぼうよ」
「うん!」
帰りに沢山咲いているツム草と言うお花を見つけて、花冠を作りました。
『オオカミ』と言う男子と鉢合わせになり、ピヨネラは花冠を彼にあげました。
「ありがとう」
「・・・うん」
「僕のことが怖い?」
「違うの。なんだかドキドキする」
「そうなんだ?」
「なんだろう?」
「僕も君に会うとドキドキするよ?」
「そうなの?」
「そう」
「今度、クッキーを焼いてオオカミさんのお家に持っていくわ」
「ありがたいな」
「呼び方は、オオカミ君でいーい?」
「それでいいよ。ピヨちゃん」
「うん!それじゃあ。もう帰らなきゃ」
「うん。気をつけて」
こうして再会を約束して、ピヨネラは無事にお家まで帰ることができましたとさ。




