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男爵令嬢の記憶が交差する  作者: まるねこ


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24 ブラジェク伯爵とフランとロイ様

「お久しぶりです。お義父様」

「フラン君、久しぶり。今日はどうしたんだ?」


 ブラジェク伯爵は最近商会の方にいることが多いのだが、今日は伯爵家の執務室で執務を行っていた。


 私はソファに座ると、伯爵も執務の手を止め、向かいに座った。


 私は従者たちに下がるように指示をし、彼らが部屋から出たのを確認してから口を開いた。


「早速で申し訳ないですが、お義父様。先代様の亡くなった後、エフィン公爵がメルロワード国に親書を渡し、この家の権利を代わりに持っているということは知っておられますよね?」

「ああ、悔しいが。それがどうしたのだろうか?」


「私、あちらの国王に少しばかり伝手があり、ちょっとメルロワード国に行ってまたブラジェク家に戻すように交渉してこようと思っているのです」


「男爵令嬢でしかない君が一人行って隣国の国王陛下と交渉をする? それは難しいだろう。我が家のことだ。私が行って交渉すべきだろう」

「ええ、確かに。そのために今日、お義父様にお願いに来たのです」

「……フラン君はどこまで知っているのだろうか?」


「私が知っているのは先代様がメルロワード国の国王に切り殺されたこと、エフィン公爵がイェシュティア国の親書を偽造し、ブラジェク伯爵の港の使用権などを取得していることです。


 父の方ではエフィン公爵が裏で行っている様々な後ろ暗い取引の情報を集めていると思うわ。そちらの方は詳しくは教えてもらっていないの」


「詳しく知っているのだな。ノール男爵やフラン君のおかげで我が家が救われている。本当に感謝しかない。


 だが、エフィン公爵は財力を盾に他の家にも嫌がらせを行っているようだ。公爵が本気になれば私もフラン君を殺す危険がある」


「そうですね。ですが、このままでは公爵家の借金で伯爵家が立ち行かなくなってしまう」

「ああ、私の動きをエフィン公爵は注視しているだろう。公爵の目をどう誤魔化すかが問題だ」


「……なら、ロイ様がメルロワード国に赴くのはどうでしょうか?」

「ロイか」

「ロイ様なら私の婚約者ですし、次期伯爵として国王陛下に謁見しても問題ないと思います」


「そうだな。ロイを呼ぶことにしよう」

「そうですね」


 私は立ち上がり、部屋の外で待機していたアーシャに指示をする。


「アーシャ、ロイ様を呼んできて」

「畏まりました」


 アーシャは一礼し、ロイ様を呼びに行った。

 私は部屋に戻り、その間に義父と私のお茶を淹れ直していると、扉がノックされた。


「父上、お呼びでしょうか。フラン嬢、父と何か大事な話でも?」

「ああ、ロイ。お前に頼みたいことがあってな」


 ロイ様は私の隣の席に座り、私はロイ様にもお茶を淹れてから席に着いた。


「先ほど、フラン君と話をしていたのだが、ロイ。そろそろお前にも話をしておかねばならん」


 義父はいつもにも増して真面目な顔をしている。その様子を感じ取り、ロイ様も姿勢を正し、真剣な表情になった。


「父上、改まってどうしたのですか?」

「ロイ。実はな、我がブラジェク伯爵家の借金はエフィン公爵の借金なんだ。そしてエフィン公爵家がメルロワード国から受け取っている港の使用料などは我が家が受け取るべきものなんだ」


 ロイ様はその言葉に一瞬固まった。


「……それは本当の話ですか? ではなぜ我が家は彼らの借金を返す羽目に?」


「私の父がメルロワード国に支援している時、彼らは悉く事業を失敗し、借金が増えている状態だった。


 そこで我が家に目を付けたんだ。メルロワード国の陛下に父が殺された時、イェシュティア国からの大使を前エフィン公爵が買って出た。どうやらその時に親書を偽造し――」


 義父はロイ様に現在も脅されていることや、幼いロイ様が知ることで危険に曝されると思い黙っていたのだと話をして聞かせた。


 ロイ様にとっては寝耳に水だったようで驚きを隠せないでいた。


「――で、私の代わりにロイ、お前がフラン君とメルロワード国へ行って書類を取ってきてほしい」

「確かに、僕ならフラン嬢と婚前旅行と新たな商品を探すという理由で出国できますね」


 ロイ様はそう言ってふっと私を見て笑顔になった。


「フラン嬢と旅か。楽しみだ。そうとなれば急いで手続きをしなければなりませんね」

「……ああ。だが分かっているとは思うが、これは極秘だ。誰にも悟られてはならん。例え従者であってもだ。どこで情報が洩れるか分からないからな」

「もちろんです」


 私たちはその後、父たちと情報のやり取りを行いながらどのように動いていくかを話し合った。


 そこからイシュティア国からメルロワード国への出国願いを提出し、メルロワード国の国王エリオット・シャール・メルヴォード様に謁見の申し込みなどの手続きを行った。


 そうこうしているうちにようやく国から隣国へ渡る許可が下り、全ての手続きが終わったのは一年後のことだった。


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