16 夫人たちの熱いお茶会
「はあ、熱いわね」
「奥様、少し夜風に当たられますか?」
白い顔半分を覆う仮面を付けた黒髪の執事服の男は酒を豪華なソファで酒を飲み、扇で仰いでいるダークブロンドの女性に声を掛けた。
「いえ、このままでいいわ。とても気分がいいもの。そちらの彼を気に入ったわ」
「畏まりました。カイ、奥様がご指名だ」
「はい」
容姿端麗な若い男が女性の隣に座り、彼女の手を取る。
「カイと言うのね。私を愛し、酔わせなさい」
「仰せのままに」
そう言うと、男はダークブロンドの女性の手を優しく撫で、ゆっくりとキスをした後、首筋を舌でなぞっていく。その手は焦らすように足先に触れていく。
「はあっ……。いいわっ」
その様子を女性たちが釘付にされたように見ている。数個のランタンのみが設置されている暗い部屋には甘い香が焚かれている。
いくつものソファがあり、女性たちが座り、壁には若い男たちが立っていた。
ダークブロンドの女性はうっとりとした表情で彼の手を止めた。
「皆様、今宵のお茶会は特別な趣向を凝らしたもの。どうぞ心行くまで楽しんで下さいな」
女性がそう言うと、扇で口元を隠した女性たちに笑みが零れた。
「私はそこの男性がいいわ」
「私はそこのオレンジ色の短髪の彼がいいわ」
女性たちは次々に男性を呼び、お酒を注がせては触れ合いを楽しんでいる。部屋からは甘い香りと共に享楽に耽る声が聞こえてきた。
「ふふっ、他愛ないものだな」
仮面の男の呟きは誰の耳にも届くことはなかった。




