15 フランの目覚め
「ぬぉぉぉぉ! なんで!? なんで私は矢面に立った!?」
私は勢いよくと起き上がり、頭を抱えた。
「お、お嬢様、大丈夫でしょうか」
「……? アーシャ、私はなんでベッドで寝ているの?」
「突風で窓が開いて、硬い木の実がお嬢様の頭に直撃して倒れてしまったのです」
確かに、ずきずきと左側頭部が痛んでいる。
くそぉぉぉ。
またしても頭にぶつかったのね。
アーシャがタオルを水に浸けて絞ったものを渡してくれる。
「フランお嬢様、今は無理せず少しお休みください」
「そ、そうね。庇ってくれていた護衛は?」
「彼は門番になりました」
「……良かった。クビにならなくて。あれは仕方がないわ。後で父にも伝えておくわ」
「そう言っていただけると彼も救われます。しばらく安静にしてくださいね」
「……ええ、そうね。学生でもないし、ゆっくりと本でも読んで過ごすわ」
私はアーシャに各国の特産品が書かれている本を書棚からとってもらい、各地で作られている特産品への想いに花を咲かせていた。
一般的な十八歳は王都のセントレア学院の最終学年の年なんだけど、私の家は金貸しで有名な一家なので残念ながら貴族からは忌み嫌われている。悪徳ではないんだけどね。
学生の頃は様々な嫌がらせを受けたわ。学生でいることに嫌気がさして飛び級制度を使ってさっさと卒業したってわけ。
それと高位貴族は《《幼少期のうちに婚約者。決めてしまう》》私たちのような下位貴族は学生のうちに婚約者を見つけることが大事になってくる。
ここで婚約者を見つけられなかった場合、女の子は王宮の使用人や高位貴族の侍女に就職する。男の子は騎士か文官になるのよね。
私は他家から嫌われていることもあって行き遅れが確定するものだと思っていたんだけどね。
まさかロイ様が婚約者になってくれるなんて思ってもみなかった。
あの時、キャロライン・エフィン公爵令嬢を牽制するためとはいえ、ロイ様の膝に座ったのは自分でも大胆過ぎたなって今になって思い、赤面しながら本のページをめくる。
ロイ様と色々旅をしながら新しく特産品になるような品を見つけてみたいわ。
私と一緒に旅をしてくれるかしら。
私は頭の痛みを紛らわすようにすっきりとした味わいのナジェク領から採れる茶葉を選び、喉を潤した。




