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再会

間が、

空いた。


何週間か。

何ヶ月か。


キキには

待つことしか

できなかった。


世界は、

何も変わらないふりを

していた。


学校は、

普通にあった。


チャイム。

ノート。

宿題。

エマとのランチタイム。


授業中、

先生の声を聞きながら、

キキは

窓の外を見ていた。


曇った空。


雨は、

降りそうで、

降らない。


日本で過ごした

数日間のことは、

思い出そうとしなくても

浮かんでくる。


あれから、

時間だけが

進み


大人たちが、

何かを整えている気配は

あった。


電話。

書類。

長い会話。


お父さんが、

ロンドンと日本を

行ったり来たり。


でも、

説明はなかった。


キキも、

聞かなかった。


聞けば、

叶わない気がして。


---


その日。


放課後、

迎えに来てくれた

祖父の車に

乗り込む。


「行くよ」


「……うん」


ハンドルを握る祖父は、

エンジンをかけながら

ちらりとこちらを見る。


「今日は

どの道で行こうか」


ハンドルを握りながら。


「近道?

それとも

景色のいい道?」


キキは

小さく、


「……近道で」


祖父は笑う。


「了解」


それだけで、

空気が

少し緩む。


車は進む。


田園を抜け、

町を通り過ぎる。


いつもの道。

いつもの景色。


でも、

今日は

違う。


---


空港。


到着ロビー。


人が多い。


スーツケースの音。

アナウンス。

知らない言葉の波。


セオは

人の流れを見て、

少し横にずれる。


「ここなら、

ちゃんと見える」


真正面じゃない。


でも、

ちゃんと見える場所。


キキは

その隣に立つ。


祖父は

腕時計を見て、

言う。


「まだ少しかかる」


キキは

頷く。


それ以上、

話さない。


待つ時間。


人が、

次々に

出てくる。


知らない顔。

知らない声。


そして。


見慣れた横顔。


お父さん。


歩き方で

すぐ分かる。


迷いがない。


スーツケースを引いて、

真っ直ぐ歩いてくる。


その隣に、

少年。


サキ。


サキは

歩きながら

きょろきょろして、

それから

キキを見つけた。


「キキ!」


弾む声。


キキは

息を吸って、

一歩前に出る。


「久しぶり!

元気してた?」


「うん」


「会えて嬉しいよ!」


「……うん。

……私も」


珍しく素直なキキに、

周りの空気が

少しだけ綻ぶ。


「サキ、

俺の父親だ」


コーイチが言う。


「つまり、

お前の

おじいちゃんだな」


「おお!」


サキが

目を丸くする。


「初めまして、

えっと……」


セオが

しゃがんで

目線を合わせる。


「はじめまして」


カタコト。


「ぼくは、

セオ」


「キキも、

ぼくを

セオって

よぶ」


「セオ!

はじめまして!!」


キキは、

思う。


サキは

すごいな、と。


物怖じしない。


打ち解けるのが、

本当に早い。


「じゃあ、

帰ろうか」


コーイチが言う。


歩きながら、

セオが

サキに聞く。


「ごはん、

なに

たべたい?」


サキは

即答する。


「肉!」


セオは

小さく

ガッツポーズ。


「OK」


キキは

その一連を

黙って見ていた。


コーイチが

キキに聞く。


「どうした?

待ち疲れたか?」


「ううん。

違う」


少し間。


「なんか、

嬉しくて……」


もう一度、

間。


「…お父さん。

サキを

連れてきてくれて

ありがとう」


コーイチは

何も言わずに

キキの頭を撫で、

そのまま

肩を組む。


四人で、

同じ方向に

歩き出した。

ストックが無くなったので、明日の更新はお休みします。

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