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第6話 私なりの結論めいたまとめ

 もう少し戦闘巡洋艦について、好意的な意見を描け、と戦闘巡洋艦好きの方々から、激怒されそうですが、現時点での戦闘巡洋艦について、これまでの記述が私の率直な評価です。


 確かにカタログデータから見る限り、戦闘巡洋艦は、戦艦と重巡洋艦の隙間を衝くだけの性能を誇り、又、史実で竣工したアラスカ級大型巡洋艦やシャルンホルスト級巡洋戦艦の姿等も極めて見事なモノで、多くの方から期待を寄せられるのが、当然のように私にも見えなくも無いです。


 そうしたことからすれば、一時、流行した商業仮想戦記において、リアル系で取り上げられて、一方ならぬ以上の活躍が描かれたのは当然のことだ、と言う主張があるのも当然なことで。

 私自身が、一時、そういうのを好んで読んでいたことからしても、どうにも当然なことのように考えられてならない気さえ、してしまいます。


 そして、確かに第二次世界大戦前、戦艦と重巡洋艦の間には、表面上は大きな隙間があり、隙間狙いの軍艦というのが成立しそうに見えましたが。

 でも、実際には、そんな隙間は無かったのではないか、その為に、仮に超甲巡等が竣工しても、余り活躍できなかったのではないか、と今の私は考えているのです。


 勿論、史実では航空機や潜水艦の長足な進歩、発達があり、対水上艦任務を主とする戦艦や重巡洋艦が、急速に廃れてしまったことから来る後知恵が多々入っているのは、否定できない話ですが。


 それでも、英海軍が類似の軍艦を具体的に計画して建造していない、といえる以上は、結局のところ、相手が持っているから、対抗上自分も持とうとした軍艦に過ぎないのではないか、と極めて冷たい考えさえ、戦闘巡洋艦については、私は考えてしまうのです。


 実際に欧州方面を見れば、ドイッチュラント級装甲艦をドイツが建造したことから、フランスがダンケルク級を対抗して建造し、更にはドイツがシャルンホルスト級を対抗して建造し、ソ連がクロンシュタット級を対抗して建造し、という連鎖反応が起きたようなものです。

(後、イタリアは旧式のコンテ・ディ・カブール級戦艦やカイオ・ドゥイリオ級戦艦を大改装することで、フランスに対抗しようとしています)


 又、太平洋方面においても、日本海軍について大型巡洋艦の建造が計画されているという誤情報が発端となって、米国はアラスカ級を建造し、それに対応するために、日本は超甲巡を計画するということになっています。


 更に、第二次世界大戦後に、こういった軍艦の中で生き延びた面々がどうなったのか、というと。

 アラスカ級は1947年に共に退役するという運命が待っていました。

(就役から僅か3年で退役するとは、本当に美人薄命という言葉を、私は思い起こします)

 クロンシュタット級にしても、独ソ戦の惨禍がソ連国内で極めて大きかった、という事情があるのは否定できませんが、建造中止になっています。


 そういったアレコレを考え合わせる程に、仮に戦闘巡洋艦が第二次世界大戦後に生き延びたとしても、結局は第二次世界大戦を生き延びた多くの戦艦がたどったように、速やかに退役から解体の悲運をたどったのではないか、と私は考えざるを得ないのです。


 戦闘巡洋艦というのは、確かに見栄えがする大型艦ではありますが、裏返せば、それだけ運用コスト等が掛かる存在で、同級の相手がいるのならばまだしも、そうでなければ、汎用性の高い軽巡洋艦と駆逐艦の組み合わせが、優先されてしまう艦種なのではないか、と私は考えます。


 世界各国で計画、建造された戦闘巡洋艦に対して、余りにも冷たい、薄情極まりない見方ではないか、と一部の方から言われそうですが。

 そんなことを、どうにも私は考えます。

 これで、事実上は完結し、後1話、もしも第二次世界大戦が無ければ、戦闘巡洋艦は、という補遺の話を1話、投稿した上で、本当に完結します。


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 ニッチなスキマ狙いは興隆期を過ぎれば時代の徒花となるってのは80年代バブルの時にさまざまあったスキマ産業が令和の今にはアングラ関係を除くとほとんど淘汰された事を思うとなんか似て感じられる戦闘巡洋艦の…
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